◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆アトノマツリ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
愛が勝つか?根性無しが勝るか?

小説『ガジェット』その1


 長きに渡って掲載しておりました連載小説『ガジェット』、とうとう終了でございます。最後まで根気よく読んでくださった方々、本当にありがとうございました、キシダは嬉しい(T-T)。このアトノマツリでは、ネット小説としてあまりにも長いこの話を、3回に分けて振り返ってみたいと思っております。すんませんがこちらのほうも、読むと決めたら根気よく(笑)読んでください。



 この話は、一部のネタはずーっと前からありました。WONとの挿絵談義の際にも言ってますが、前作『薔薇色の日々』脱稿直後にはすでに「リュミが武器を投げ、オスカーの背を駆け上がりオリヴィエが敵にとどめを刺す」というシーンとか思い浮かんでおったわけです、台詞つきで。
 ああ、こんなシーンが見たい。見たい、のに。それを“形”として見るには「話」を考えないといかんのです。もう4年近くもやっていて言うのも何ですが…私にとってはここんとこがまあ…正直言えばかなり面倒くさい(笑)。
 だって自分が見たいのはそのシーンなり台詞なわけで、自分の頭の中では、そのシーンは非常に劇的に感動的に、かつかっこよく再生されているわけですから問題無い。話なんか無くてもいーわけすよ。それまでの話なんか「ま、いろいろあって」の一言ですむ。自分だけで楽しむ分にはこれでイイのですが、それじゃ既に満足行かなくなってるのがマズイところ。ああ、こんなにもかっこいい3人を皆にも見せてあげたい(<余計なお世話)、こんな中堅について皆とあれこれお喋りしたいんーーー!!
 「ま、いろいろあって」では、人様と同じものを共有するのはやはり無理。このシーンに至る説得力のある「説明」をしないと。…そう、これだけ長い話であろうが、それはすべてごく一部を除いて私にとっては「前説」なんです。しかもこれだけ書いても到底妄想再生には遠く及ばず再び自分の無力に泣くことになる…なんと不毛(T-T)。
 と、まあ、なんだかんだと言いつつも、書かねば始まらないってことで今までも奮起してたわけですが。
 ここからこの『ガジェット』の場合は、長い旅に出る。
 元よりこの頃…2000年一年間…のキシダは、かなり根性が無かった(今もじゃん)。雑事を理由に、小説以外のいろんなことさえ棚上げにし、怠惰にクサっておった。こうした状況の私に、WONは本気で何も言いません。『中堅愛好会』は“準備無し”、好きなときに好きなことを好きなだけやろうという前提のHPだからです。
 …となるとどうなるか。いつまでも出来ない。ま、出来なきゃできないで何の問題もないんですが(笑)、たったひとつ「脳内を妄想が占拠しだす」という事態をひき起こします。私の場合、浮かんだ妄想はとっとと何らかの形にして片づけていかないと、脳味噌の許容範囲を超えて日常生活に支障が出るんです…(^^;。
 仕方ないやるか、と書きはじめる。が。そんななけなしのやる気も萎える、キシダはここで未だかつてないドツボに大ハマリしました。
 書いては書いては「何か違う」と呟いて途中で止まるを繰り返し。同じ一話から発生する全然違う話(中にはその冒頭すらまったく変更しているものもある)を一体何本書いただろう…どんな道を選んでもどん詰まり、いじればいじるほどワケわからなくなっていく。
 またもや力尽きそうになった私がすがった最後の一縷の光、それが「連載」だったのでした。
 私は元々仕事等でも「早くからわかってたんだからよぉ、やっときゃいいじゃねえか!」と自分ツッコミ入るほどギリギリになるまで腰が上がらない性質。ならばこの話に関しても“締切”を設定するってのはどうだろう?書きたいことが無いわけじゃない、実際原稿の形にならないだけなのよ!(<ここらへんかなり「そう自分に言い聞かせている」という状態ですが…)。
 とにかく。背水の陣、火事場の馬鹿力。そんな言葉もあるじゃないか。もしかして奇跡が起こるかも…っ。
 そんな甘い考え、さすがWONにはバレていました。私のこの提案に対し連載を始めることには即賛同をしつつも、加えて平然と
「じゃあさ、せめて三話くらいストック用意してからにしよう」。
 …ストック。ああ、やっぱりここでも書かねば始まらんのかぁ…(<ってオマエ、どういう奇跡信じてたワケ?)。
 最初の三話アップ時点には(サイト掲載前ではありますが、実際は7話くらいまで)、先の展望と言うものはまったくありませんでした。書いてる私が「タイトルの、この『ガジェット』って一体何?」とか思ってる始末。WONからの「この話、何話くらいになりそう?」というシンプルな問いにもロクに答えられないといったありさま。
 自分でもこの状況でサイトにアップを開始することは、かなりのバクチでございました。やはり始めちゃったら終わりにしなきゃだし…(当たり前だ)。
 しかし私は信じてもいたのです、この自分の妄想の「くっきりはっきりさ加減」を。部分的ではあるものの、これだけ明瞭に「頭には」あるものが形にならないはずはない、今の私にわからないだけで(おい!)。絶対この頭の中にはきちんとこのシーンが形となって繋がる「物語」があるはずだ、それを探し当てさえすれば良いのだ。猶予3ヶ月の間に何とかなる!……………はずっ!
 …実際とりあえずは何とかなったワケで、ある意味スゴイっちゃスゴイ気もする(<頼むから自分で言うな)んですが…この無謀な“見切り発車”が後のキシダ、そしてWONまでもを大きく巻き込み、中堅愛好会始まって以来の尋常でない状況を招くことになりました。
 そのお話は引き続き次項持ち越し(笑)。

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