リレー小説『踊るサクリア』02 by WON

このまま隣部屋の物音に、耳をすましているのも情けない・・・。何とか話の内容、いえ!雰囲気だけでも知ることはできないの?
あのオスカー様が、わざわざご訪問されるくらいなのである。きっと重要な事柄に違いない。
あたしは部屋を見回し、何か使えそうな物を探した。しかし、部屋はいつ誰が来てもいいように、きちんと整理されている。おまけに引き出しの中でさえ、見られて困るような物は入っていないのである。
(アンジェリークみたいに、等身大のテディ・ベアなんて、あんな恥ずかしい物・・・)
「ぎゃ!!」
あたしは思わず下品な声をあげてしまうくらい驚いた。青いチェストの影に、アンジェリークのテディ・ベアが置いてあるのである。
(何故・・・こんな物が?・・・)
あたしは混乱した頭で、考えたけれど思いつかない。昨晩は、ばあやが部屋を掃除してくれたはずだから、こんな物があれば教えてくれるはず。じゃ、いつ誰が?あたしは恐る恐る、テディ・ベアに近づいた。

《続く》


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