リレー小説『踊るサクリア2』13 by WON

 警備室に夜も煌々と光が灯っているのは当然だが、賑やかな音楽と複数の人影。
 ライブが近いため集まって練習しているオスカー、オリヴィエ、リュミエールの3人である。
「この曲は問題ないね。さて、今日はこんなトコかな」
 チラと時計に目をやり、オリヴィエがギターを降ろした。
「あの時計狂ってんだよ」
 もうちょっとやろうぜ、という目でオスカーが言う。
「オスカー、今夜は他のお仕事もあるそうですよ」
 オリヴィエのフォローに回るリュミエールは楽譜を片付け始めていた。
「お仕事?何だそりゃ」
 引き下がらないオスカーに、リュミエールは足元のカメラケースを目線で差した。
「ふーん。今日は助人はいらないのか?オリヴィエ」
 何か手伝わせろと言わんばかりの顔だ。
 (こういう時の『お仕事』とは、新聞部の部長であるオリヴィエが重要な写真などを撮りに行くことを言うのだが、そのうち詳しくリレー小説にする予定なので今回は割愛させてもらう)
「うーん、今夜はいい。部員に頼んだから」
 軽くかわしながら、さっさとギターを片付け、リュミエールの横に立ったオリヴィエはチラと窓の外に目をやった。どうやら、その部員は外に待っているらしい。
「柑橘系ですか。上手く行くといいですね」
 オリヴィエのかすかな香水に気付いたリュミエールがにっこり笑う。
「んふふ。リュミちゃん、サンキュ☆」
「・・・女かよ」
 オスカーが小さく舌打ちする。昔からオリヴィエが柑橘系の香水を使うのは落としたい女がいる時だ。
「女性に危険なことさせるなよ。やっぱ俺が行こうか?」
 一緒に行きたくてたまらないといったオスカーの台詞を背中で聞きながら、オリヴィエはこういう時のオスカーを好きだと思う。が、今回は仕方が無い。
「そうそう、アンジェリークが夜中の男子寮に入り込んだ時、ロザリアも一緒だったって知ってた?」
「ごまかすなよ、オリヴィエ」
「ごまかしてないわよ〜、ロザリアって結構いいトコあるよね」
「!・・・まさか?今度の相手はロザリアか?」
「さぁ?どーだろうねぇじゃお先!」
 カメラバッグを肩にオリヴィエは部屋を出て行った。
「窓からチラと見えましたが、ロザリアじゃなかったですよ」
 と、リュミエールが声を掛けたが、それは「上手くかわされましたね」と言っているようにも聞こえた。
 オスカーは急に荒々しくベースを仕舞うと「メシ食い行くぞ」とリュミエールの返事も聞かずに飛び出した。

《続く》


| つづきを読む | HOME |