リレー小説『踊るサクリア2』02 by WON

「みなさん入学おめでとう。私をはじめ、教員、先輩方も心から歓迎しています」
学園長の祝辞が聖堂に響く。
ああ、私は本当にこの学園に入学できたんだ。憧れの先輩がいる学園に!!

私の名前はアンジェリーク。
田舎の中学からこの学園に入学するのは大変だったけど、先輩と同じ学園生活を送りたい一心で一生懸命勉強したの。
先輩が私の中学にいたのはたった1週間、だけど先輩が好き!少しでも近くにいたい。
オスカー先輩の側に。

「生徒会長挨拶」
「はい」
この声・・・!(オスカー先輩!!!)
壇上に上がった赤い髪に聖堂内がざわめく。
「新入生諸君!入学おめでとう。心から歓迎するぜ」
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
黄色い悲鳴は私じゃない。エスカレーター式の中等部から入学した女生徒みたい。
やっぱり人気あるんだぁ・・・オスカー先輩。
私なんかその中のひとりにもなれないのね・・・だって嫌われちゃってるんだもん。
ああ涙で先輩の姿が霞んじゃう。

「キミ達の入学を祝して、一曲贈りたい。おい、上がってくれ」
そう促されて、水色の長髪と金の長髪に赤い前髪の男子2人が壇上へ・・・同時に聖堂は更に大きな悲鳴にも似た歓声があがった。今度は男子生徒の声もまじっている。
壇上に並んだ3人はそれぞれ楽器を持って正面を向いた。静まり返る聖堂。
水色の髪の人がキーボードでワンフレーズ、美しい高音・・・あ、この曲!聖歌だわNo.・・・思い出そうとした瞬間、オスカー先輩のベース、赤い前髪の人のギターが加わってロックに変わる。うそっ!そんなんアリ?もう聖堂の歓声も武道館(???)状態だ。
凄い。オスカー先輩すごい!かっこいい!!こんなこともできるなんて!やっぱり私の目に狂いはなかったのよ〜〜〜!!
オスカー先輩にウインクで合図するリードボーカルは赤い前髪の人。よく見るとお化粧してるんだわ!
水色の髪の人も制服を着てなければ、女性に見間違うくらい美しいわ。
やぁ〜〜〜っぱりオスカー先輩って友達も素敵なんだわーーー!!
ああ・・・入学してよかったーーー!!
こんなオスカー先輩が見れるなんて、もう死んでもいいわーーー!

・・・・はっ・・・・。
そうよ。大好きだったおじいちゃんが言ってたわ。「人間、死んだ気になればなんでもできる」って。諦めちゃダメよね!オスカー先輩がいくら人気があったって。やるわ、やるしかないのよアンジェリーク。なんのためにここへ来たの?チャンスに後ろ髪はないってユーミンも言ってるわ。
そう、合言葉はガッツ!!!!!

そんな彼女の背後には、書き割りの炎がめらめらと燃え上がるのであった。

《続く》


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