ジェームス・ブライアン
James Ely Bryan
PALM-Main -1
●所属作品/PALM
●名前/本名マイケル・V・ネガットMichael V Negut。VはVOIDの略。後にジェームス・エリー・ブライアン James Ely Bryanと改名。ジェイクJake、J・Bとも呼ばれる。
●生年月日/1960年10月8日
●性別/男性
●人種/ドイツ系アメリカ人。
●親族/母、イライザ・ネガット。父親、不明。
●経歴/母は出生児に死亡、伯父でシンジケートの顔役、アーサー・ネガットに引き取られる。4歳で国立シンクタンク・サウスワース戦略研究所研修生に。11歳の時、スタン・マティックによって誘拐され、15歳までテキサスの農場に監禁のち脱走。逃げ込んだ刑務所で20歳までを過ごし、服役中にエール大学のエンジニアリング修士過程を卒業。出所後2週間、民間軍需機器会社に勤務、のちオーガス探偵事務所に就職。
●職業/私立探偵助手

ジェームス・ブライアンは
1974年、作者14歳の時、カーター、アンディらと共に生まれたキャラだ。
彼らは「2821コカコーラ」の時のPALMキャラように、別のキャラの変形を繰り返してできたキャラクターで、中でもジェームス・ブライアンの起源は作者6〜7才ぐらいにまでさかのぼれるくらい古い。わたしの描く人物の中でも、ルーツの最も古いキャラクターだ。
PALMシリーズは登場人物みんなが主役だが、その中でも彼は最もヒロイックなパートを受け持っている。言い換えれば、彼はわたしが14歳のときから(あるいはそれ以前から)描こうとしている唯一のヒーローなのだ。

ヒーローというのは、一般的に言っても十人並みの人間であってはならない。ただ頭脳や体力が優れているだけでなく高い徳性を持ち、いかなるときも最もよい決断ができ、勇敢な行動がとれなくてはならない。だからわたしにとって彼を描くことは、自分の徳性を求める戦いだった。14歳の時のわたしは、荒れ狂う海に投げ出された木の葉のように非力で小さな存在だった。今も似たようなものだ。混沌とした、嵐のような世界の中で、人はその都度自分を越え、勇気を奮い起こし、決断をし、理想に近づかなくてはならない。何が真実で、何が嘘なのか?どうすれば自分らしく生き、心を捨てずにすむのか?ひとつひとつのエピソード、ひとつひとつのハードルを越えながら、彼に教えられたことは大きい。
ヒーローには別の側面もある。非現実的なまでに理想を追及するので、たいがいのヒーローというのは人間的に奇矯な面が出てくる。ジェームスも例に漏れず、ご存知のようになかなか変な奴だ。
制作面では、ライターはヒーローを「立てる」という小細工をする(わたしでも)。つまりわたしは生みの親なので、ジェームスの悪いところを本当は色々知っているが、そういうところは少なくともこれみよがしに描くことはしないわけだ。これがキャラ設定の矛盾に拍車をかけて、ヒーローはますます変な奴になる。
こんな内幕が公然の秘密としても、ヒーローの影響力というのは良くも悪くもバカにならない。作品の内外に「アンチ・ジェームス」なるものが存在するのも彼がヒーローであるがゆえんだ。ヒーローはつらい。ヒーローは孤独。ヒーローは不利だ。それでも人々がヒーローを求めるのは、「よりよくありたい」という願いがあるからだ。
わたしがジェームスを描いていて得た一番大きな教訓によると、後悔のない人生ほど心安らかなものはなく、同時にそれを得ることは巨万の富を獲得し維持するより、はるかに難しい。

●性格
クール、沈着冷静、泰然自若。年齢に似合わぬ自信と落ち着き、時に冷淡なまでの分析力と判断力、そして見かけによらない素直さと素朴さ、寛容、暑苦しいまでの情愛を内面に秘めている。
一見何を考えているかわからないキャラクターなので、彼をよく知らない人には「冷たい」「冷酷」「無愛想」と思われているようだが、意外に人懐っこく、家族・友人への忠誠心も強い。
ただ率直さと誠実さは彼の中でイコールなところがあって、そのへんが周囲にはスリルと誤解のもとのようだ。
存在感と押しの強さで周りへの影響力が強い上に、逆に周りからはほとんど影響を受けない不動の人だが、天才児で、子供の時雛形の大人だった彼は、成長過程をはしょったおかげで、ある意味無垢な大人になったとも言える。

●感情
鉄面皮、鉱物とあだ名されるほど、感情が表に出ない人物。笑わない、または笑えないことでも有名だが、全然笑わないかというとそうでもない。野球でホームベース盗塁に成功したりすると、がははと笑い、カーターがワイエスに褒められて決まり悪そうにしている横でニコニコしていたりする。ただ愛想よく振る舞うことを要求されたりすると、どうしていいかわからなくなるようだ。

●頭脳
子供のころは天才児、大人になっては天才のジェームスは、頭脳明晰なことで有名で、そのために最低2回は殺されそうになっているくらいだが、ほとんどちゃんと学校に行ってもいないので、どのくらい賢いのかはちょっと不明だ。実は作者は、どのくらいのIQからが頭がいいのかも知らない人間なので、「IQはサウスワース研究所の機密」としてごまかしているが、まさかルパン三世ほどは頭よくないだろうとは思う(ルパンは確かIQ300とかだったような・・・)。

●特技
ナイフ投げ、目付きで人をすくませることを始めとして、脱走とか喧嘩とか射撃とか、「やくざな世界で生き延びるための」サバイバル術一般に長けている。
「自分は殴られないようにして殴っていれば勝てる」というのが彼のタクティクスの基本精神だ。必殺技のナイフ投げはサロニーのムチの前に破れたが、サロニーが合体してからは、手を触れないで相手を倒す電撃技も身に付けた。
またアンディと力を合わせての、鉄曲げや手から青い光を出す手品風パフォーマンス、ルージュメイアンと共謀してのメモリ倍増、カーターを相方にしたコンビ漫才など、連携プレーも得意とするところだ。

●究極奥義
キスで人を失神させること。

●哲学
大局的で達観した物の見方をし、監禁生活やム所暮らしで考える時間もたっぷりあったからか、彼の哲学的洞察には深いものがある。でもちょっとおじんくさい。またかなりの理想主義者で、ロマンチストでもあるようだ。「愛でなく」では、実はエコロジストだったことも発覚した。
ジェームスの哲学1
「見込みのない場面で強気に徹することを人は勇気と呼ぶのだよ、君たち」
ジェームスの哲学2
アンジェラ「馬鹿みたい、そんなこと本気で信じてるの?」
ジェームス「信じるってそういうことだろ。」

●ウイット
ジェームスはこうみえても、PALMきっての「おもろいお兄さん」だ。一番過激な、最高傑作のギャグはいつも彼が発信源。あまりにもおもしろいギャグなので、キャラクターの間にも弛緩者続出。危険なまでの切れ味と言える。

●センス
ジェームスは趣味が悪い。犬に名前を付ければ「ローズ」、偽名を考えれば「チャーリー・ブラウン」か「ジョン・スミス」。人の子の名付け親になれば「プリンセス(ビアトリスの子供・・・)」、女を選べばシド・キャロル(ごめん!)(ごめん!!)。おまけに名作を読んだり名演奏を聞いたりすると寝てしまうという不届き者。美術館に行っても、「女の子の像」とかしか見ていないから、「お花や女の子はきれい」程度の美的センスしか持っていないのは間違いない(生きていくには十分ですが・・)。色彩感覚もあまりにひどいので(赤とか緑とか黄色が好きらしい)、公害を懸念した母イライザのかつてのボーイフレンド、ハーヴ・ハスキンス画伯が専用ユニフォームをあてがったくらいだ。

●嗜好
ジェームスは下戸だ。「サロニーが合体してからは少しは飲めるようになった」というもの、大したことはない。それに酒場でアイスクリーム・サンデーを注文するくらいの甘党だ。人はみかけによらない。また喫煙をせず(フロイドにすすめられてツッパッて吸ってみたが、あとでガラガラうがいをしなければならなかった)、自分で料理までして豆や野菜なんか食べているところを見ると、かなり健康に気を遣うタイプらしい。

●癖
ジェームスは左利きとよく言われているが、実は「両利き」だ。彼は一見無味無臭な男だが、結構奇癖持ちだ。芸術に触れると眠くなるのをはじめとして、本を巻末から読む(しかも視力が悪くもないのにのぞき込むように顔を近付けて読む)、照れたときに前髪を指に巻き付ける、興奮すると犬を噛む、などなど。

●趣味
園芸、文通

●弱点
ジェームスは「自分にとって快適な環境や状態」を意外に重視している人間だ。だからどんなところにも住めるわけではないし、逆境に強くて我慢強いとされているけれども、痛かったり気持ち悪かったりするのは大大大嫌いなのだ。刑務所に入るとまず所内改革をやったり、カーターさんちにやってくるとすぐ大掃除をしたりするのはそのためだ。
また悪い奴らに殴られたり、ボディチェックをされたりすると、それこそもう我慢がならず、状況そっちのけで反撃に出てしまったりする。また、孤独なのも嫌いで、医務室に入れられたり入院させられたりすると、すぐ出してくれとだだをこねる。

●言葉遣いチェック
口の達者なPALMキャラの中では、かなり無口なほうに分類される彼だが、簡潔な表現と命令形で、なかなか存在感のあるせりふ回しを見せてくれる。ただあまりに朴訥で飾り気がないので、言葉足らずでよく誤解も受けている。結構口下手なのだ。言葉遣いそのものは、なぜかおっさんくさい。時々都合が悪くなると、カーターの語調をまねてみたりするのはなぜなのか?口論になるとラリーの応酬から壁打ちの壁と化し、敵を虚無感で打ちのめす。

●人相チェック
肌・蒼白、髪・亜麻色、目・淡い灰色。一応主役を張っていることもあって、美形に描いてやってるが、人相は悪い。三白眼で、フロイドには「ゲシュタポみたいな人相」とまで言われている。よく西洋の人にPALMを見せると、カーターとか、時にはフロイドまでも女性と間違われるのだが、こんな女女した顔のジェームスはなぜか間違われないから、思いの外顔立ちもマッチョが入ってるのかもしれない(それとも首が太くて肩幅があるせいか・・・)。髪も切りっぱなしで手がかかっておらず、「頭をかまわねえことにかけちゃティットとタメを張る(ティットはハゲ)」と言われている。右目は「あるはずのない海」で親友ワイエスに撃たれて失う。

●身体チェック
身長198センチ、体重推定100キロ前後(本人は絶対100キロもないと言っていますが・・・)、かなり「大柄」「大柄」と言われていて、実際でかい。正しティットなんかと並んでいると、重量級のうちではちょっときゃしゃか、もしかしたらその下のランクかなとも思えてくる。体を鍛えているところは誰もたことがないけれど、なぜかずいぶんいい体なのはひとつのミステリー。あちこち傷だらけなのでも有名で、背中と腕と胸ににナイフのものらしい傷、脇腹に散弾の傷、肩に犬による噛み傷がある。

●服装チェック
黒子か忍者のような黒の上下は彼のトレードマーク。前記のように、ハスキンス画伯のお仕着せだが、彼は毎日毎日毎日むぁいにちこの同じ服で通している(同じものを何着くらい持っているのでしょう?)。シャツのみで、ネクタイや上衣はなし。時々ベージュ色のトレンチコートを羽織っている。このコートもいろんな事件で血だらけになったりしてよくダメになるのに、すぐまた同じものを着てるから、スペアがあるという説もある。またこのコートを着用している時は、たびたび銃を隠し持っていたりするので要注意だ。
この黒装束は、キャラクターデザイン的には、頻繁に出てくる主役が簡単に描けて(いつも同じ服で、しかもそれが輪郭線のみのベタ仕上げというのは、たいへんな作業の軽減なのだ)、しかもシルエットが明確で目立ち、動作やアクションも引き立つという利点がある(そこまで考えて考案したわけじゃありませんが・・)(何しろジェームスの誕生時作者は14歳)。
ただ別の服を着ているときもまれにある。幼少期や、刑務所入所時をはじめとして、裁判でネクタイ着用が必要なときは、いい子ちゃんぶりっこのスーツ、寒冷地でシャツ一枚じゃ寒いときは、タートルネックのセーターなども着ていたりする。

●生活態度チェック
牧歌指向のジェームスは、おうちでせっせと家事をしたり、のんびり過ごすのが基本的に好きだ。またジェームスはよく寝る奴でもある。いい音楽を聴いても寝るし、パーティでも寝るし、撃たれたり気絶したりすることも多いから、タテになってるよりヨコになってるコマのほうが多いんじゃないかと思えるほどだ。嘘だと思ったら数えてみよう。本当によくゴロゴロしてるぞ。

●持ち物チェック
ジェームスはあまり物持ちがよくないらしい。車は年中大破させているようだし、服なんかも同じだ。また彼は腕時計をしていない。どうしても時間の確認が必要な時は、腕時計をポケットに入れて持ち歩いている。これは時計のかわりに袖にナイフを入れているからという説と、監禁生活が長かったので、手錠みたいな感触のものが嫌いだからという説の2説ある。

●体力チェック
一応ジェームスはタフガイの部類に入っているが、「病弱(?)」との説もあり、体力の点では天下無敵とはいかないようだ。特に睡眠は、「愛でなく」の段階で約8時間は必要なのが判明しており、「オールスター・プロジェクト」のフリスとの逃避行の時でさえ、途中でモーターインに入ってベッドの上で本格的に寝入ってるくらいだ。作者のわたしが思うには、空腹にも絶対に弱い。ちゃんと食べて寝てさえいたら、サロニーとの決闘も、もっと有利な展開だったかも。

●セクシャル・オリエンテーション
刑務所にいたからか、今のボスが女性的(ごめんよカーター)だからか、こわいホモネタのギャグを飛ばして男友だちを脅かすのが好きみたいだが、迫ったオカマのグレッグを少年刑務所の2段ベッドの上段から突き落としたというから、ホモっ気がないばかりか、嫌悪感もしっかり持っているらしいことがうかがえる。
しかも経験豊富なビアトリスやフロイドによると、ジェームスは手練のおじさん並みに女にうるさく、独占欲が強く、「生娘タイプで身持ちの堅い女性」が好みだという。ほんとだとしたら、なかなかとんでもない男だ。
しかし彼は「マリリン・モンローのファン」でもあるらしく、真相は定かでない。

●お住い拝見
これも監禁生活が長かったからか、「住まい」には一種の憧れがあるらしく、自分の部屋だけでなく家中を観葉植物で飾りたてている。彼がオーガス家にやってきて2年余りで、家の内も外もジャングルと化した。他にも自然素材がお気に入りのようで、自分の部屋には貝のランプや金魚鉢を置き、ルージュメイアンと温室で同棲し始めたときは、噴水を導入するなど、なかなかロマンチックな演出も好みのようだ。

●社会的ポジション
本業はただの探偵助手だが、彼の社会の顔は「有名人」または「天才」だ。なにがそんなに有名で、どこがどう天才なのかいまいち定かでないところがこの世の皮肉だが、本人がそう望んだわけでなく、それによって得をしたわけでもないので大目に見てあげよう。

●世間の評判
悪い。話に尾ひれが付きまくっているとはいえ、マフィアを潰したとまで言われていて、やくざな世界ではこわもてしている。有名人にありがちなことだが、本人の自分に対するイメージ、あるいは真実の姿と、世間の評価にかなりギャップのある人物でもある。

●お歳はいくつ?
カーターのところに来たとき、ジェームスは成人したばかり。30女のシドちゃんと恋に落ちたとき、ジェームスはまだ22才。新聞に写真の載るような若者(犯罪記事も含む)は老けているというが、そういうことなのか?ちなみに彼はアンジェラの恋人ノーマンと同年、フリス・モルダーより3歳年下だ。

●恋愛遍歴
思い込むと深いせいか、スローハンドのせいか、ジェームスはたいへん恋愛回数の少ないキャラクターだ。今のところシド・キャロルと一回、とんでもない牛歩の恋愛をしてくれたおかげで、「愛でなく」がコミックス10巻以上になってしまったくらいだから、まあ相当なものだ。しかし他にも、刑務所時代、脱走先に愛人がいたとの説もある。
また本当の恋愛でなければ、誰にでもすぐ恋してしまう人物でもあり、あらかたの登場人物とは、最低一度は疑似恋愛状態に陥っている。

●仲良しは誰?
時々思いっきり人の恨み嫉みを買って苦労するものの、人間関係には割に恵まれている彼。とにかく誰とでも仲良くしないと気の済まないこともあって、どこに行ってもたくさんのお友達と、ひとりふたりの親友を得、子供にはなつかれ、年配の方々にもかわいがられ、犬猫も手なづけ、運がよければ敵も味方につけて、超幸せな奴だ。刑務所時代の親友には副官のティットとボアズ、出所後はカーターとアンディ、それにちょっと×だった少年期の親友ワイエスの再来フロイド、女性陣ではいきなり同棲に踏み切ったルージュメイアンと最初のオフィシャル恋人のシド、あんなにすごい敵だったのに同化しちゃったサロニーなどなどなどと挙げればきりがないが、やっぱりジェームスに対する思い入れの深さや相互信頼度、彼に匹敵するくらいの業の深さや苦境の経験及び感受性の鋭さや頭の切れ具合からいって、ボスのカーターは自他共に認める大親友と言えよう。ナンバー2はひところアンディだったが、今はアンディ以上の情熱家とされるフロイドにその地位をおびやかされつつある。負けるな、アンディ!

●占いデータ
ライフナンバー、7。太陽宮天秤座、月の位置牡牛座、上昇宮蠍座。ねずみ年生まれ。牧歌的なライフナンバー7と家庭的なねずみ年、共に快楽趣味の天秤・牡牛座の組み合わせで、かなり平和志向と定着性の強いキャラクターだ。これで上昇宮が蠍じゃなかったら、平穏無事な一生も夢じゃなかった?ホロスコープではたいへん牡牛座の影響の強いことがわかっている。あの岩のような不動さは間違いなくそこから来ているのだろう。

●そこまで言うか
この「そこまで言うか」は読んで字のごとく「そこまで言うか」というくらいきつい発言を取り上げるものなのだが、ふだんきついきついといわれる彼にしては「そこまで」というほどの発言は意外に見当たらない。歯に衣着せぬ言動で、辛口ではあるのだが、あんまりひねった性格でないためか本格的な毒気に乏しいのだ。彼の言動の中で、いぢわるで辛辣なものとして思い当たるのは、「あるはずのない海」で嘘発見器のテスト用嘘に「アンジェラ俺と付き合わないか?」と本人の前で言ったこと(ちなみに針は思いっきり振れました)と、「結婚して」と迫ったシドちゃんに「あんたは俺にのぼせているだけだからやめろ。」と言ったこと(でも事実だった・・・)くらいか?他にあったら誰か教えて。

●ちょっと失言
「マティックが俺を誘拐したとき、仲間のグエンという男がふたり(乳母のマリアとその子イライ)を撃ち殺した。(略)グエンの挑発に乗って彼を殺した。」
「オールスター・プロジェクト」で11歳で誘拐にあったときの犯人殺害をカーターに告白した彼だが、マリアとイライを撃った張本人で、ジェームスが殺した男の名は「カーロス」。自分の殺した相手の名前を間違って覚えているなんていくらなんでもひどい。哀れカーロス(もっともグエンも同じ時に殺されているが・・・)。ジェームスがその間違いに気付く日は来るのか?ちなみにある一読者の指摘があるまで、この呼び間違いには大方の読者も編集者も作者も長い間気が付かなかった。

●よくよく見れば
マメ
ジェームスはマメに尽くすタイプだ。カーターには朝食を運び、家事をこなし、アンディの世話をし、後見人に替わってPTAに顔を出し、兄に代わってジョイと文通する。
お祝い事などはちゃんとチェックして、きちんとプレゼントやお餞別をあげる。
退院時のグレッグには花束、ティナには電話番号札、ボアズにはハモニカ、アンディにはお誕生日に彫刻につけるサファイアをあげていた。敵のサーリングにさえ引退後にビーグル犬をプレゼントしに行ったりしている。みんなあのジェームスがお店に入って「これください」といって買ったものだろうか(ティナのは手作り)?しかしシドに「写真ちょうだい」と言われたときは、彼女にこれからも会いたいものだから「本物を見に来い」なんて裏ワザを使ってみた。態度にメリハリがないからよくわからなかったが、結構キザに決めた場面だったのかも知れない。

正直者→でも嘘つき
ジェームスは率直な人間の多いPALMの中でも横綱クラスの正直人間だ。彼は自分を偽ることがたいへんな回り道と考え、合理性の点からもそういう無駄足を自他に踏ませないよう心がけているらしく、時には自分の不利になるような材料でも事実であれば公開してしまうくらいだ。「オールスター・プロジェクト」で、自分に不利な証人になりかねないスタン・マティックをかくまっていることだけでなく、その場所までを、ご丁寧に当時敵かも知れなかったフロイドに教えて、逆に「そこまで言わなくてもいい。」とあきれられたくらいだ。しかしそうかと思うと、反対にぬけぬけとした嘘を思いっきりついたりもする。誰かを何らかの形で守るためとかシリアスな根拠のときもあるが、「スタンダード・デイタイム」でいきなり刑事のふりをするとか、「オールスター・・」の中で、アビー姉さんの娼婦仲間に囲まれて突然妻帯者になってしまうとか、なんだかよくわかんない嘘もある。 「愛でなく」ではシドちゃんに、「あなたは嘘つき。わたしの嫌がることは一切しないと言ったのに、いやと言ってもやめなかったわ。」と言われていた。うはは。よかったねえ。

シャープ→でも鈍感
ジェームスは賢いので、知的なPALMレギュラー陣の中にあっても洞察力や先見力で群を抜いているのだが、しかしそんな彼とて完璧ではない。「お豆の半分」では発信機をくっつけたまま車を走らせるという不注意でボスや弟分を危険にさらし、しかもそれをアンジェラに指摘されて不可解ないいわけを並べていたし、親友のワイエスに長年命を狙われながらいっこも気付かなかったり(しかも同時に別件で殺人鬼にも長年マークされていた)と、変なところで妙に鈍感だ。人もうらやむ天才児で有名人という自分の立場もいまいちよくわかっていない感もある。「あるはずのない海」ラストの幻想シーンで「君は結構おっちょこちょいだぞ。」とかカーターにたしなめられて、彼は「だって俺はガキなんだよ。」と返していた。思えばごもっともでございます。


出演作品
PALM
金銀熊鮫
月の猫
いつまでも君の心に
2821コカコーラ
青また青
THE WORLD

○とにかくジェームスは「またか。」と思うほど、あの作品にもこの作品にも顔を出している。たぶんキャラクター全部の中でも最多に近い作品出演数だろう。
一番印象的だったのは、やはり今のところ「2821コカコーラ」のファシスト、ミハエル(マイケルのドイツ語読み)・アルフレッド役。なんだか妙にイジワルな役だったが、上手かったよね。メガネも似合ってたし。
反対に、この時二役で演じた農夫のジェフ・ウイング・ビダーは、彼の本質に近い役のはずだけど、あまりに当たり障りがなくて印象が薄かった。ちなみにジェフ・ウイングという名前は、作者14〜18歳くらいにかけて仲間3、4人と描いていたお遊びの漫画で彼が演じていた役名で、「ウイングス」のウイングから取ったものではありません。
また「月の猫」では、行きずりの地球人女性に子供を産ませる悪い宇宙人(?)、「青また青」ではシリアル・キラーをほとんどセリフなしで演じ、「金銀熊鮫」では結構堂に入ってる(?)日本やくざ姿と上手なお箸の使い方を披露。
異色なところでは子役(つまりマイケル・ネガットの姿)として「いつまでも君の心に」に特別出演。突っ張ったキューピットを演じている。

2001年からスタートしたシリーズ「THE WORLD」では、ホワイト・ワイルド役に抜擢。近付くものを次々と食べてしまう性格の悪い神として、ブラック・ワイルドワイルド役のエティアス.サロニーとコンビを組んでいる。

●作者ひいき度
文句なく一番ひいきにされてるキャラで、誰もがそれを知ってると思うけど、作者本人にそのことを面と向かって言う人はあまりいない。ある日アメリカ人のケリーちゃんと電話で話していたら、ほとんど脈絡のない会話の中から突然彼女が「野生さんて、ジェームスを愛してるのよね。」と言ったので、わたしは言葉が引っ込んで汗がどーっと流れ出て、「ケリーちゃんやめてよ。汗かいちゃったよ。」と言うのがやっとだった。
でもそんなことを言うケリーちゃんをわたしは愛している。

●ジェームスファン
ジェームスを好きな人の層はバラバラで、漫画に詳しい人からほとんど読まないような人、大人や子供、元気な感じの人から静かな感じの人、深く好きでいてくれる人からさらっと好きな人まで色々だ。
印象が強いらしく、漫画世代外の年配の方や、日本人以外にPALMを見てもらっても、一番に覚えてもらったり感想をもらえるのは彼だ。
男性のジェームス支持の理由で一番受けたのは「俺に似ている」(嘘つけ!)。女性でジェームスを本当に好きな人は、かっこよさとか頭がいいとかいうよりも、彼のイノセンスを支持してくれているようです。

●編集者の評判
なぜかジェームスはあまり編集受けしないキャラだ。最初の3代が続けて男性編集者(ジェームスは反感を買うらしく、男性受けもあまりしません)だったせいだと思っていたが、そういえば女性編集者にもあまり好きと言われた覚えが無い。某出版社のジェームスと誕生日が同じだった女性編集者は、そのよしみで結構好いてくれてるようだけれども、一番好きなのは確かフロイドだそうです。

●読者に聞いたミステリー
ジェームスの顔の怪
ジェームスは、前記の通り顔の表情があまりないキャラなのだが、そのせいか、ほんの少しのまゆの角度とか、口の端のコンマ数ミリの上げ下げの感じで、笑っているようにも、怒っているようにも、いろんな表情に見えるという話をよく聞く。なんでも無表情な彼の顔絵を机の上とかに飾っておくと、心霊画のように見るたびに違う表情に見えたりするらしい。
ちょっとこわいが、興味のある人は試してみては?

●キャラクターのつけたあだ名
大猫(BIGCAT Studioのネーミングも一部ここから来てますね)