エティアス・サロニー
Attias Sarony
PALM-Main -4
●所属作品/PALM
●名前/本名不明。ファースト・ネームのエティアスのみが本当の名前らしいが、これは名前でなく名字であった可能性もある。
●生年月日/1953年10月26日
●性別/男性
●人種/ヨーロッパ出身で、北欧系または南欧系白人であることはほぼ間違いないが、詳しいことは不明。名前は、姓名ともオーストリア人からとったので、オーストリアの人かも知れない。
●親族/両親に妹ひとり。また死後に妻子がいたことも判明、ちゃっかり加減で周囲をあきれさせた。息子エティアス・サロニーJr以外の家族親族は、奥さんも含め全員匿名希望らしく姓名不祥。
●経歴/ヨーロッパのどこかの排他的貴族家系に生まれ、子供の頃、動物を虐待したり殺したりする異常な性質や行動を恐れられて両親に殺せれかけられたのをきっかけに、人間も殺すようになり、成人後はスカウトされて殺し屋としてCIAに就職。その後趣味の殺人との両立がむずかしくなり、個人経営の殺し屋として独立、CIAにも半ば追われる身に。1982年没。
●職業/CIAの殺し屋兼工作員。現役当時は主に中南米で活躍。フリーの殺し屋になってからは、隠れみのとして宝石屋さんの営業マンもやっていた。

エティアス・サロニーは
1987年に、PALM第5話「星の歴史」の悪役としてデザインされた、PALM主演陣の中で、最も新しい世代に属するキャラクターだ。
PALMのレギュラーの大部分は、遅くても1975年、作者15歳までに誕生している。これはおそらく、作品の主なテーマや制作の動機が、作者幼児期から少女期のできごとに関っている(わたしだけでなく、大体のひとの一生の考え方や行動は、ずいぶん幼いときの他愛ない経験で決まるものだそうだ)からだろう。
このことから考えると、サロニーはわたしにとっても、まさに突如として現れた大悪役だったのだが、のちに19歳のとき行った堕胎が、作品や作家の暗黒面を象徴する彼を生み出したことに気付く。このことはわたしの人生のなかでも、際だって心霊的な出来事であり、PALMという絵空事と現実との接点や、作品の誕生に何らかの霊的、あるいは自分以外の外部的要因が介在する証拠を突き付けられた、生々しい経験であった。サロニーの行動や物語を見て、楽しい思いをした人はまずいるまいが、彼によってもたらされた啓示は、PALMやわたしの人生にとっては大きい。
新参者で、しかも殺人鬼という悪役でありながら、サロニーがPALM4大キャラクター(このコーナーへの殿堂入りの順番通り、ジェームス・ブライアン、カーター・オーガス、フロイド・アダムス、そしてこのエティアス・サロニーが四天王)のひとりに位置しているのはそのためなのだ。

●性格
エティアス・サロニーは希代の大量殺人鬼である。大量殺人鬼の特徴として、性格はあまり複雑ではない。
この手の歯止めのきかないキャラクターは、自分のなかに情緒のバリエーションがあまりなく、いろいろな角度からものごとを感じ取ったり、考えたりすることができないらしい。他人の気持ちにも妙に鈍感で、犯罪研究家のホロウイッツをマイケルファンで自分の同士と勘違いしたり、ジェームスを自分の同類と思い込むなど、ニブチンさでおちゃめなボケ(?)もかましている。

●感情
サロニーは普通の人ではないので、感情も普通ではない。一番の特徴は絶対に怒らないこと。怒らせるようなことをすると、ものすごく喜んで、場合によっては友だちだと思われてしまうから気をつけよう。反応を見ていると、相手が自分といっしょになって思いっきりキレてくれるほど、この人にとってうれしいことはないようだ。

●頭脳
頭は悪くはなさそうだが、使い方が間違っている・・・

●趣味・特技
サロニーの最大の趣味はもちろん人殺しだが、誘拐、拷問、監禁など、その他の残酷趣味にもひとおおり手を染め、武器、格闘技、詭計、脅迫、追跡、撮影、こけおどし、弱虫のフリといった付随テクニックもかなり追及している、なかなかの凝り性さんだ。趣味が高じて本職に。「わたしは言ってみれば、自分の趣味や特技を生かした仕事をして生計を立てている一部の幸せな人たちの同族なんですよ。」とは本人の言。

●持ち物チェック
「星の歴史」はコミックス3巻たらずの短い話で、そのうちサロニーが本格的に登場していたのはたった2巻。それでも組み立て式ライフル、手錠、罠、KKK団(クー・クラック・クラン/黒人差別主義の集団)の有名なオバケの覆面などあやしいものが、家や車のトランクやポケットから次々登場。また自分の持ち物ではないけれど、巨大スパナや得体の知れない農耕具らしきものや、ジェームスのナイフまでを駆使して、みんなをいぢめた。買収用に、つぶつぶダイヤなんかも持ち歩いてるみたいだ。
そして彼はハンターなので犬も3頭飼っていた。ドーベルマンとシェパードとハスキー犬だったが、ちゃんと名前とかつけて、かわいがっていたのだろうか?
いろいろある彼の悪趣味な持ち物の中でも出色なのは、ジェームスとその関係者の写真コレクション。普通のシリアルキラーみたいにピンで壁にとめたりしないで、きちんと額に入れて飾ってあるところが、なかなか几帳面だ。

●究極奥義
ムチまでお使いになるとは恐れ入りました・・・

●執念
執念深いキャラは珍しくないPALMだが、この人の執念深さはまた次元が別。自分でも「ほんとは俺はおそろしく気が長いんだ」と言ってたけれど、執念深い上にやたら牛歩で、もたもた段取りするのが好きなのだ。
子供だったジェームスに目をつけて、延々大人になるまで追い回してから殺そうとしたり、彼に挨拶するためにわざわざ人を殺して刑務所に入ったり、殺す対象にすぐ手を出さないで、周囲の人間から殺したりいじめたりする。おまけに人をいじめるためなら、パイプにほっぺたを思いきりぶつけたりして、自分を傷つけるのもいとわない。
とにかく一度見込まれてしまうと、この人から逃れるのはかなり難しいようで、殺しの対象にはならなかったが、一方的に話し相手にされてしまった犯罪研究家のホロウィッツや、自殺現場を発見されて、彼の奥さんにされてしまったかわいそうな匿名希望の女性(作者の仕事場ではたまに「雪女さん」と呼ばれていた)なども、ついにサロニーか自分が死ぬまで、彼からは逃げられなかったようだ。

●十八番
夜中にどこからともなく、他人のうちや時には自分のうちに忍び込む。カーテンのはためく窓際に立つ。バーで後ろから人の肩を半ばのしかかるようにして叩く。

●ウイット
○「おかしなものだね。黙って人の家に入ると、どうやって入ったと尋ねる家人がずいぶんと多いが・・・相手が何者か確かめようとするのはもっともだ。何の用かと尋ねる者もいる。だがどういうわけか、みんながみんなこれらといっしょに『どうやって入った?』だ。どうでもいいことなのにね。」
そんなウイットでは誰も笑わない・・・

●嗜好
死後に、カーターと比較されるくらいの酒仙であったことや、決まった曜日にシャンパンを飲んだりするある意味グルメだったらしいことが判明したが、職業が職業のせいか、缶詰だけでえんえん生活できるような面もある。きっとランボーみたいに木の根っ子なんかを食べても生きられるのだろう。
イメージとしては、ミミズなんかを釜で煮て食っていそうだが、さすがにそこまではいかず、荒野に建った住居のまわりに罠なんか仕掛けていたから、きっとウサギなんかをつかまえて、自分で解体してお料理してたと思われる。

●センス
一通り怪奇趣味でコーディネートしてるのだが、時々マフラーなびかせてオープンカーに乗ったりして、結構ヘン。なぜか豹柄の襟つきジャンパーとかが似合ってしまう、あやしいお兄さんだ。
作者の仕事場では、「殺す相手によって『きょうはこの香り』とか言って、オーデコロンとかも変えてるんじゃないか。」とかバカな冗談も出ていた。

●弱点
そんなものはございません。

●言葉遣いチェック
この人の言葉遣いは意外にフレキシブルなのだ。会話の途中で「ですます言葉」だったのがいきなり「横柄調」になったり、自分のことを「俺」「わたし」果ては「あたし(お前はコロンボか?)」と呼び変えたりする。
サロニーの話術には独特の悪魔的テクニックがあって、彼は間違いなく悪い奴なのに、面と向かって話しているうちに、なぜか気が付くと立場が主客転倒してしまっていたりする。彼の善悪に対する見方は、普通の人と違うので、相手のペースに呑み込まれたが最後、こっちも何が何だかわからなくなってくるのだ。
サロニーの勝手な思い込みで殺しの対象に選ばれた人たちも、知らないうちに「死にたかった」ことや「サロニーと同じ闇のお友だち」にされてたりするし、果ては「わたしがお前を裁くのではない。お前がお前自身に裁かれるのだ。」なんて、気が付くとサロニーより悪者にされてた人までいる(同じくらいには悪い人だったか知れないが・・・)。そこへ持ってきて、「殺す?貴様を?図々しい男だ。自分にそれほどの価値があると思うのか?」とまで言われると、もうサロニーに殺されることが、なんかのプライズかご褒美みたいになってくるから(本人はそう思ってるんだろうが)、混乱の極みだ。
教訓:「悪魔とは会話するべからず。」

●人相チェック
肌・蒼白、髪・黒、目・モンスターのグリーンアイズ
「WORKS/星の歴史」の項目にも記述のある通り、この人は最初もっと濃い系にデザインされた顔だった。でもって、性格があまりに濃かったので、バランスを考えてやや妖艶美系にデザインし直されたのだ。イメージとしては頭がヘビの魔物に、ドラキュラを掛け合わせた感じか。マントを着てふふふとか笑うとよく似合いそうだ。
妙にまつ毛がバサバサで、目が時々ベタかグラデーショントーンで塗りつぶされるのが特徴。まぶたや頬によく影がついているので、メイクしてるのではという説もある。それにあの不自然な前髪は、いちいちムースで固めているのだろうか?どちらにしても、結構お出かけ前の身支度に手間取りそうな人だ。

●身体チェック
身長198センチのジェームスとほぼ同じくらいの背丈で、かなりの高身長だ。体つきはやややせ形に見えるが、同時にマニアックな鍛え方をしていそうな感じもする。爬虫類的イメージのせいもあるが、一般の筋肉マンのお腹が6つくらいに割れているとすると、この人のは8つくらいに割れてるんじゃないかと思ってしまう。背中にウロコとか生えてて、その気になればハエ男への変身もできると言われても、なんだか納得できる。のは作者のわたしだけだろうか?

●体力チェック
サロ様は冷血動物なので、体力も爬虫類並(??)だ。疲れたの、痛いだの、調子が悪いだのといった言葉は、彼の辞書にはない。
言ってみればフリーズドライ人間だから、極点に置き去りにしてカチンカチンに凍らせても、砂漠に放置してカラカラの干物にしても、お湯をかければ3分で元通りなのだ。首をはねると、双頭になって復活する竜や、血の一滴になっても生きてる物体Xの手合だ。はっきり言っていやな奴だ。

●セクシャル・オリエンテーション
異常なことばかりしているサロニーだが、女の人との付き合いかたは、他のことに比べてやや普通人に近かったような気がする。人並みに妻子もいたし、旅先の宿の女中とねんごろになったことから、マイケル・ネガットのことを知ったりしている。ただその女中さんがそのあと無事だったのかどうか、やや気になるところだ。

●お住い拝見
サロニーの住居は、「星の歴史」でジェームスとの決戦の舞台にもなった、非常に凝ったグロテスクなデザインの一軒家だ。インテリアもグロテスクなら、突っ伏した人間が足に彫り込まれた椅子や、動物の骨などの調度品も悪趣味にコーディネートされていた。砂漠の真ん中に建ってたから、大工さんがどうなったのかも、やや気になるところだ。
これが本宅とすると、妻子を囲っていた別宅もあったみたいだから、殺し屋にしてはなかなかの不動産持ちといえる。しかし彼の一生は旅行が多く、大部分はホテルや他人の家や施設やテントの生活だったようだ。

●生活態度チェック
悪いことをしている人によくあることだが、彼の生活も総じて結構暇そうに見える。人のテリトリーをうろうろして追跡や写真撮影をしたり、バーやディスコでふらふらして誰かを脅かしたりしている。きっと友だちがほしかったのだろう。

●社会的ポジション
サロニーには戸籍みたいなものはなく、おまけにCIAの工作員もやっていたので、社会的には存在しない人間ということになっている。彼の作品内での象徴的ポジションは死に神。作者はこれに少し夢魔(夢の中に現れて人を愛し殺すオバケ)(???)が入ってると考えている。

●ちょっと失言
「殺せ」
と、ジェームスに言ったために、迷わず殺されてしまった。J・Bにそういうことを言ってはいけない。もちろん、承知の上で言ったのではあろうが。
「今のが下宿人のアンジェラか?ずいぶんかわいい子じゃないか」
脅迫電話(?)の最中にこれを言ったがために、「ああ、お前もそう思うか?」とジェームスに同調されて、あとが続かなくなってしまった。ずっとホラーチックに決めてたのに。大失敗であった。

●お歳はいくつ?
サロニーは没年28歳。ジェームスより7歳年上で、カーターより4歳年下だ。10代でCIAに就職してるから、子供時代に政府の戦略研究所にいたジェームスとは、やはり近いものがある。

●仲良しは誰?
サロニーと仲良くなりたい人や、仲が良かったと思っている人はほぼいないだろうが、サロニーが友だち扱いしていた人は結構いる。
先にも名前があがった犯罪研究家でレイランダーの友だちのホロウイッツ、完全に仲間と思われていたジェームス、微妙な愛憎関係にあったと思われるCIAのサーリング捜査官、なんのかんの言っても似合いのカップルだった奥さんなどが主なところ。息子のサロニーJrのことも、暗がりでロッキングチェアーをキコキコいわせてあやしたりと、彼なりにかわいがっていたようだ。

●占いデータ
ヘビ年生まれ、蠍座、でもってライフナンバーがイカモノの9。
何もいうことはございませんという組み合わせだが、あえてホロスコープについて追記すると、彼はなぜか殺人鬼が多出している牡牛座上昇宮(牡牛座太陽宮ではありません。牡牛座の方、ご安心を)。牡牛座の部位は「首」だが、彼が首を締めるのが好きなのとも、何か関係があるのだろうか?また殺人鬼の特徴として、ホロスコープ上の座相線が極端に少ないことも予想される。
月の位置は双子座。そのせいか作者は双子座太陽宮でライフナンバー9のプリンス(今は「かつてプリンスと呼ばれた男」とかいう名前のあの人)を見ると、サロニーと共通するものを感じてしまう。


出演作品
PALM(星の歴史/オールスター・プロジェクト)
フランケンシュタインは僕に云った
THE WORLD

○彗星のごとく現れた大型新人(?)の彼だが、のっけから大殺人鬼を演ってしまって「サイコキラー」のイメージが定着してしまったのと、元々のあやしい雰囲気のせいで、絶対に普通の人は演れないキャラクターだ。
デビュー後2作目の「フランケンシュタインは僕に云った」も怪物役。前作のこわいイメージを逆手に取って、あわれな役どころで涙を誘った。
PALM以外の大長編「THE WORLD」では、主役のひとりブラック・ワイルドに抜擢されたが、この役も人間ではなく、霊界の王様(神様?)の役。ややおちゃめな彼を見せてくれる。

●よくよく見れば
お前は俺のもの?
他人を勝手に自分のものにしてしまう」という点で、サロニーはジェームスに勝るとも劣らない。そもそもそのジェームスがまず勝手に彼のものにされてしまったのだから、上には上がいる。
「お前は俺のものだ」とダイレクトにアプローチ。「どんな風に生まれてどんな風に育ったか、つぶさに見てみたい。」というぐらいのご執心ぶりで、ジェームスもああいう人だからまんざら悪い気もしないで、「同類って言ってるんだから、そうなのかも。」なんてフラフラしてしまったのだろう。
しかしジェームスみたいに悪い気がしない人ばかりじゃないだろうから、見入られた人たちはお気の毒だ。目を合わせないように気をつけるしかない。

死んでも死なない
サロニーは死んでも死なない奴だ。ジェームスに殺されたあと彼にとりついて、のちに一体化したのはおなじみ。オーガス家の食卓のメニューや、ジェームスの髪質や声紋を勝手に変えた他、怪我も治してくれるようになったし、お手とか変な芸当までして、まるで飼いオバケのようになついている。
また連載終了直後に短編「フランケンシュタインは僕に云った」で早速復活したりもしていて、漫画のキャラクターとしてもなかなかしぶとそうなところを見せている。

●作者ひいき度
サロニーは作者に愛されている。なんたって作者はママなのでしょうがない。
サロニーデビューとほぼ同時期に飼いはじめた黒猫にも、彼の名をつけてかわいがっていたくらいだ(1998年没)。その非常に心霊的な猫の存在は、作品内のサロニーとしばしばオーバーラップして、作家に様々なインスピレーションを与えた。その詳細をここで長々書くのはあまりにややこしいのでやめておくが、まあ「事実は小説より奇なり」といったような話である。

●読者や作者や編集者やキャラクターのつけたあだ名
作者が飼い猫に同じ名をつけたからか、それともかえってあまりに怖かったせいか、意外に愛嬌のあるあだ名を、彼は結構もらっている。
サロちゃん、サロぴん、サロ様、サロサロ、サのつく人、エティちゃん、ミミズ、アリゲーターなどなど。「出たな大魔神」というのもあった。

Sept.12th.1998