PALMは2019年5月現在、最終話「TASK」が新書館WINGSに連載中。

シリーズ全体として最終制作段階を迎えた2015年より、PALM執筆以外の活動の停止・制限が行われています。

停止事項は以下の通りです。


●各種コメントの発信(インタビュー、雑誌、イベント向けのコメント類など)
●手紙、メッセージへの返信 ●イベントへの参加(トーク、紙上イベント、原画展、サイン会等)
●メイン以外の商業誌等への執筆など
●文庫・外国版COMIX等を除く他の媒体への使用許可(アニメなど)

なおなおホームページ、フェィスブックサイト、ブログ等は2015年1月現在通常通り運営されており、これらの更新は停止事項に含まれていません。
<2019年5月更新>


〜2006年の活動制限第一段階施行時のメッセージから〜

さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。
わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。
もちろんPALMはあと2話残っていて、そのあとも書くものが残っていますが、人間同士が互いに別れを言い損なうのは、もちろん前もって言っておかないからに他ならないわけで、わたしはこの最終段階の区切り、最後かも知れないチャンスを逃すべきでないと決めました。

考えてみるとわたしの周囲にいる人間は息子以外ほとんどわたしの作品を読まないので、ずっと読んでくれた人とは、たとえ一度も会うことがなくても、ある意味深いつながりがあったと言えます。作家から読者への通常のお礼の言葉は「長い間ご愛読ありがとう」ですが、そんな言葉は大して意味がない。

覚えている人がいるかどうか、わたしはいつかどこかで、PALMが終わるころには何らかの人生の秘密、すべてのわけにたどり着きたい、それをできればみんなと分かち合いたい、と書いたことがあります。
すべてのわけにはやや早すぎるものの、PALMのおかげで今までいろいろな発見があったことはありました。そのひとつで比較的最近のものをここに書いて、感謝を表したいと思います。

それは幸せになる方法です。
多くの人が幸せを求め、まだ来ぬ幸せを待ちわびていますが、幸せの厄介なところは非常に気付きにくいものだということです。蜃気楼のように遠くにいる時はよく見え、近くではまるで見えなくなってしまう。見えないそのわけは、 もちろん自分がその中にいるからです。
わたしを含め、わたしの知っているほぼ全員はすでに充分幸せですが、それを自覚し謳歌している人間は少ない。

どうか今の幸せをのがさないでください。

うちのキャラのひとりが「地獄は死んでから行くところじゃねえ。ここが地獄なんだ。」と言ったことがありますが、それは忘れてください。
「天国は死んでから行くところじゃない。ここが天国だ。」の間違いです。
要するにどっちも事実なわけですが、どうせなら天国を多めに認識してください。
幸せは未来や遠い場所にはない。今ここにあることに気付いて、どうか心ゆくまでそれを味わってほしい。
悪い習慣を遠ざけ、良い習慣を続け、なるべく健康で、五感を研ぎ澄まし、全身でそれを感じてほしい。できれば毎日満ち足りた気分を味わってほしい。
それがわたしの願いです。

おかげさまでわたしの人生も、自分の想像をはるかに超える幸せなものでした。いつも新しい何かにチャレンジする幸せ、難しいハードルを克服する幸せ、何かに命をかけて燃えるように生きる幸せ、無防備に深く激しく愛する幸せを味わった。
また、今までとこれからのPALMを通して、この幸福をあなたと分かち合える幸福に感謝しています。
では実際の別れの前にあらかじめ、
本当にありがとう。
さようなら。

みなさんの輝く日々を願って。

2006年7月
獸木野生


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