ノートンの修復画面に見入るアイボリー
/Photo by Yasay Kemonogi

Name: Ivory 2001-2021
Breed: Siamese and Japanese domestic Mix
Date of Birth: June,2001
Gender: Male
Guardian: Yasay Kemonogi
Home: Japan


獸木さんちのアイボリーちゃん

アイボリーの主な日課は獸木の仕事のオブザービングである。
/Photo by Yasay Kemonogi

名前/ アイボリー
性別/ オス
ブリード/シャム猫と日本猫の混血
毛色/白にタビー
保護者/獸木とフロイド
好きな物/毛皮製、羽製などの生臭いおもちゃ
好きなこと/ストーカー行為
苦手なこと/退屈
今凝ってる遊び/スタンドを点灯(&転倒)させること
こわかったこと/就寝前、飼い主に足を使ったイタズラでふとんの中にエイリアンが潜んでいると思い込まされたこと(しばらく眠れなかった)
犯罪歴/獸木のパソコン作業を勝手にキャンセルする常習犯である


日本に帰ってきて、猫のフロイドとささやかな二人暮らしを始めて半年以上たったある日、友人のケロちゃんから一通のメールが舞い込んだ。
「通い猫のシャムが3匹子供を産んでしまいました。かわいくて保健所に連れていけません〜!誰か子猫ほしい人いたら教えてください。」
おりしもTHE WORLD「花の贈りもの」を書き始めようという頃のこと。話に登場するWWが姿を変えた白猫とダブって、頼まれてもいない方向に思考がイレギュラーバウンドする。
「子猫たち何色なん?」とわたし。「ブチとシャム猫柄と白。」とケロちゃん。「白いのもらうわ。」とわたしの口を借りてしゃべる何者か

わたしが初めて面接に行ったときのアイボリーは、しっぽと耳にグレーの色が浮き上がり、他の猫の半分くらいの胴回りしかない貧相な体形で、引っ込み思案で遊びにも加われない臆病者だった。しかも野良なので人間にまるで慣れておらず、近寄ることもままならず、性別さえもわからない(ケロちゃんとわたしは結構長い間、弱っちい彼を女の子と思っていた)。
あまりの弱々しさに、一度は他の子猫をもらうべきではと迷ったが、最初のヒラメキを信じて彼に固執。ケロちゃんの家畜化の努力によって、抱き上げられるくらいまで人間に慣れたころ、ケロちゃんと立ち読みした「子猫の飼い方」にあった、親離れの適期とされる月齢で、彼はうちにやってきた。

最初トイレへも行けないほどびびっていたアイボリーは、約3日で完全に環境に適合。さらに競争相手がいなくなったとたん、打って変わってやんちゃで大胆な猫へと大変身をとげた。
体こそいまだに他の兄弟より小さいらしいが(小柄なお母さん似らしい)、好奇心おう盛で、1日中遊び回り、おとなしい先輩猫のフロイドを追い掛け回し、飼い主につきまとう。
原稿を描けばペンをさわっている、データを作ればキーボードを枕にしている、玄関で靴を履けば靴ひもにじゃれついている、トイレに入ればドアの下から白い小さな手がのぞいている、手鏡を見ればその中に白い顔が映っている・・・
日中さんざん暴れ回るので、夜はくたびれて獸木のベッドで朝まで微動だにしないで眠る。 正に去年生き別れになった犬のルビーが、猫になってカムバックしたような有り様なのである。

同じシャム猫系だからかサロニーにも良く似ているのだが、繊細なサロニーに比べてかなりオープンでからっとした性格だ。
多少たたかれてもびくともしないし、フロイドをかわいがっていると、どこにいてもすっとんできて大っぴらに妨害する(サロニーは抗議しないで怖い目でじっと見ていた)。

そしてそのフロイドも、アイボリーに夢中である。うちの歴代猫はみな仲が悪かったのだが、そういえばフロイド自身は攻撃的なところのない友好的な猫なのである。
他の猫たちの性格が悪かったからうまくいかなかっただけなのである。
子猫のアイボリーをかわいがってなめてやり、遊んでやり、増長させることで、フロイドはただの「おもしろくてかわいくて、ちょっとおバカな猫」から、「面倒見のいいナイスガイ」に一気に昇格した。

フロイドともうまく行っている/Photo by Yasay Kemonogi


 

「くああわいい〜〜」(タスク君談)
/Photo by Yasay Kemonogi

実は獸木は猫を子猫から飼うのははじめてなのだが、元々成猫成犬が好きで、子猫や子犬への熱狂はあまりない。だが獸木の息子タスクは、実は秘かに子猫にあこがれを持っていたらしく、遠くからわざわざ(実は子猫を見るだけのために)遊びに来た。
「子猫ってそんなに興味なかったけど、結構かわいいね。」とわたし。「くああわいいよお、お母さん。」と、怪しいお兄さんを警戒して逃げ回る子猫をさんざん追い掛け回し、頬を紅潮させたタスク。

ちなみにアイボリーのお父さんは、ケロちゃんのお隣の白い日本猫の「まことちゃん」である。彼はその後ケロちゃんちの通い猫をはらませたかどで去勢されてしまったらしい。
他の兄弟は結局養子縁組みがまとまらず、現在もケロちゃんのうちで成長を続け、最も美しかったシャム猫柄の猫はますます美しく、最もおもしろい顔だったまだら柄の猫はますますおもしろい容貌になりつつあって、ケロちゃんは複雑な心境だそうだ。

ケロちゃんの家では通い猫に正式な名前はつけないので(アイボリーらのお母さんもいまだに「シャム猫」とか呼ばれている)、彼らもまだ名無しなのだが、ウキウキモンキーさんとわたしはロンドン旅行時に、会話の便宜上と勝手に彼らを「スラッシュ(かっこいい方)」「ドットコム(まだらの方)」と呼んでいた。
目下獸木はスラッシュとドットコムをネットデビューさせないか、とケロちゃんに持ちかけている。

<2001年10月>

2021年11月追記/ アイボリーは獸木家ペットご長寿記録を更新し、2021年11月8日に20歳5ヵ月で眠るように永眠いたしました。かわいがってくださった皆様、ありがとうございました。
以下ブログにお別れ記事をアップしましたので、どうぞご覧ください
ブログ/さようならアイボリー

ーその他のアイボリーのエッセイー
アイボリー探検隊
ある朝の仕事場


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