NO.8 メルボルンの食べ物について 1998年8月8日号

現在の気候/
6、7、8月が冬のメルボルン。
今年日本は長梅雨だったそうだけど、同じころ、6月終わりから8月くらいにかけて、こちらも梅雨のような雨がちの天気が一カ月以上続いていた。
スタジオメンバーの猿渡さんとわたしは北と南半球にありながら、ほぼ同時に台所を蟻に襲われ、情報を交換しあってラベンダーオイルでこれを撃退する。
8月始めの今はこちらはまだまだ寒い(平均気温は10度前後)が、すでに水仙やツツジやマグノリアや梅や桜(なぜか梅と桜が同時に咲く)が咲いている。

世間の話題/
わたしも息子のタスクもスポーツに関心が薄いので、オリンピックなどと同様、サッカーのワールドカップも知らないうちに終わった。
音楽マニアのタスクは、ワールドカップのテーマソングみたいなのを歌っていたリッキー・マーティンとかいうお兄ちゃんが苦手らしく、毎週録画している音楽ビデオ番組の彼に向かって「オレオレオレってなんじゃ?お前のことか?3回も言うな!」とひとりやじっている。

制作状況/
ここ数カ月、作品のデジタル化プロジェクトにかかっている。
まだ手描きより時間がかかるが(デジタル化最大の目的は作業の軽減)、PALMへの導入は次回作(「午前の光」)以降になるので(絵柄が変わるので章の途中からは導入できない)、ぼちぼちやっている。
フォトショップのアダルトスクール(4回講座)にも行ってみた。

最近のテレビ/
「「ザ・シンプソンズ」の次にはまった番組は「サインフェルド(Seinfeld)」。 コメディアンのジェリー・サインフェルドのショーで、彼と3人の仲間が繰り広げるニューヨークのスノッブな生活コメディ(???)である。
主役のジェリーは馬面の二枚目半で、ちょっと志村けんが入ってて、ハンサム過ぎず、おもしろい顔過ぎず、なんとなく毎日見ないと気の済まなくなるような、癖になる顔(わかるかにゃ?)。
その他の面々もなかなかの個性派ぞろいで、番組やキャラクターはこちらでも大大人気。
内容はシンプソンほど過激じゃないけど、それでも駐車場の障害者用スペースを取っちゃうエピソードとか、日本で放映できるのかな?と思えるものも結構ある。

こっちの政治/
ここ数年、オーストラリアは史上まれな不人気政治家の当たり年らしく、ファシストと呼び名の高いジェフ・ケネットと、レイシスト(人種差別主義者)のポーリン・ハンソンという政治家が現れて、一般の人やマスコミに叩かれ、叩かれ、叩かれまくっている。
ラジオを最近聴いているのだけど、トリプルMというロック専門の人気ラジオ局で、「ジェフ・ケネットやポーリン・ハンソンみたいな政治家を今後出さないためにはどうしたらいいか?」という意見番組をやったり(またこれに、「高学歴であることを立候補の条件にすべき」なんて意見をよせる人が出てきて、コメンテーター3人が「そんなバカな話は聞いたこともない!」と喧々囂々となるなど、なかなかにぎやかなのだが)、デモが行われたり、果ては彼らの首をかたどった犬に噛ませるオモチャや、顔を描いた足拭きマットが売りだされるほどの不人気ぶり(しかも売り子のお姉さんが「これって最高でしょ?」とすすめてくれる)。
彼らがマスコミに注目されるあまり、プライム・ミネスターの影もかすむほど。おかげでわたしはいまだに何度聞いても、プライム・ミネスターの名前が覚えられない。( ジョン・ハワード・・・名前自体がインパクトに欠けているのかも ・・・)

ビッグニュース/
犬を飼いはじめた。
ケルピー(ボーダーコリーの一種)とジャーマンシェパードの混血(こっちではポピュラーな掛け合わせらしい)の黒い雑種犬。雌・生後約8週間。
名前はルビー・ブラックと命名(長いので通常はルビー)。しかし色形が似ているので、ときどき「ローズちゃん」と呼び間違えてしまう。
ペットショップの犬なので出生証明(血統書?)がついてきて、あとで見たら自分の母と同じ誕生日だった。
イライザという快活で親切な店員のお姉さんが、「今夜はあなたといたがって鳴くでしょうけど、妥協しないであなたの決めた寝床に寝かせてね。」と、教えてくれたのに、初日からいきなり自分のベッドに寝かせてしまった(そこが飼い主の決めた寝床という説もある)。
犬を飼うのは子供時代以来なので、猫に慣れた最近のわたしは24時間自分を追いかける熱いまなざしとタフな四肢に、はじめグッタリ。
当分犬に独占される日々が続くと思われる。


●犬と散歩に行く公園にある、ボートハウス・レストラン。分厚い本格ハンバーグを大きなロールにはさんだハンバーガーや、エビのバーベキューが名物。

ニューバージョンでお送りするBIGCAT NEWS、今回はみなさんお待ちかね(?)の「メルボルンの食べ物について」です。

ここメルボルンは食に寛容で、あらゆる種類の料理を楽しめるところといわれています。
たとえばコーヒーはイタリアンスタイル。ふわふわの泡の入ったカプチーノやカフェラテが人気ですが、飲み方のバリエーションはその他にもいろいろあります。
イタリアの移民がふえたころ、みんながそのおいしさに目覚めて町中に広まったもののようですが、こちらへきてわたしが一番喜んだというか、安心したのは、「ものすごく濃いコーヒーがどこでも飲める。」ということでした。
日本でも、エスプレッソ級に濃いコーヒーをたっぷり飲むのは、自宅でのみでしかほぼ不可能でしたが、アメリカ旅行でさらに薄いコーヒーを体験して、「自分が住むところがコーヒーのまずいところだったらどうしよう。」と密かに懸念していたのでした。

実は今もカフェでそれを飲みながらタイプしてますが、メルボルンでのわたしのお気に入りは「ロングブラック」と呼ばれるエスプレッソの普通サイズカップ版。
もしただ「コーヒー」と注文すると、ミルクの入った「フラットホワイト」が出てきます。

イタリアンレストランやイタリアンスーパーマーケットも多くて、いろいろなパスタ料理が味わえます。
レストランで食べて、うちでも作るようになったのは、トマトソースに生クリームを加え、チキンと刻んだドライトマトのオイル漬けを和えたソースで食べるパスタ(スパゲティでもペンネとかでもオーケー)と、スモークサーモンとリーク(少しすっぱいネギのような味)とケーパーのオリーブオイルベースのスパゲティです。

チーズも豊富。意外に用途が多かったのは、白くて淡白なフェタチーズで、デリで買った新鮮なやつをサイコロ型に切って、にんにくやハーブとオリーブオイル漬けにしたり(これは日本でも瓶詰めが売っていた)、クルミなどとミキサーにかけてパテにしたり、崩してオリーブなどとサラダにしたり、よく利用します。
また、硬質チーズを溶かして作ったチーズソースは、魚や蒸した野菜にかけると、それだけで立派なメインディッシュになります。

イタ飯の他にも、中華・タイ・インド・インドネシア・マレーシア・ベトナム料理などが充実。これらの料理のテイクアウエィもいたるところで可能です。

うちの近所にはエベレストという、とってもおいしいインドカレー屋さんがあって(数件おいてヒマラヤというライバル店もある)、締め切り前などによくそこのテイクアウエィ(店内で食べるときは要予約の店)を利用してお世話になってますが、ココナッツ風味のチキンカレーとサフランライス&ガーリックナン(という組み合わせが好き)それぞれ一人前で、大人ふたりがおなかいっぱいになる量です。

カフェはいたるところにあって、どこもいつもお客さんでにぎやかですが、うちから割合近いところに、メルボルン一のカフェ通りブランズウィック・ストリートがあって、よくわたしは仕事しがてらそこにランチに行きます。

冬でも外にもテーブルを置いている店が多く、寒がりのわたしは平気で外に陣取っているお客さんを見て「よくもまあ」と思っていたのですが、今は犬持ちになったので、わたしも彼らの仲間入りをしつつあります(犬連れも多い)。

ランチのおすすめは、カフェによっては一日やっているブレックファーストメニュー。
うちのキャラクターのフロイド・アダムスもこだわっていた「エッグベネディクト」(たしか007とスヌーピーの好物でもあったような)は、イングリッシュマフィンの上にベーコンとポーチドエッグをのせ、レモン風味のきいたホースラディッシュソースをかけたもの。
うちで朝ご飯につくるには少し手間がかかりすぎるので、カフェで手軽に食べられるのはありがたいです。

ベーコンのボリューム(たいがいすごい量)がこたえるときは、エッグベネディクトのベーコンをほうれん草に変えたエッグフローレンティーンか、ベジタリアン・ブレックファーストがたいへん結構。
ベジタリアン・ブレックファーストの内容はお店によっていろいろですが、大概はエッグベネディクトのベーコン抜きに、フライドトマトやマッシュルーム、豆などの野菜がついてきます。

安くておいしいもの満載のメルボルンですが、こちらの食べ物は全体に脂肪分が高く(乳製品なども日本のより「濃い」感じで、クリームなどもホイップ前からどろっとしている)、レストランなどでふるまわれる量にも並々ならぬものがあるので、体の大きくない我々は、調子に乗って食べていると時々コレステロールで血管がつまって死にそうになります。

わたしたち親子は、日本食抜きでもわりと平気なほうですが、そんなときは突然なべ料理を作って、うどんを足したり、おじやにしたりして3日くらい日本食ざんまいします(日本食はかなり人気が高く、米、うどん、豆腐、みそなども普通のスーパーや健康食品店で買えます)。

さて、いかがでしたでしょうか?わたしは書いていたらお腹が空いてきました・・・。

お気づきの通り、BIGCAT NEWSは今回より、ホームページ対応で、エッセイ風になっております。
前号から半年以上たっていますが、現在では郵便での郵送は中止、Eメールのみのお送りとなっています(日本の友だちの大半がネットにつながったので)。

そんなわけで、もし取り上げてほしいサブジェクトがありましたら、(ホームページビジターの方も)教えてくださいね。
ではまた!

獸木野生


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