+++ 環境問題Q&A
環境問題Q&A


Q1 獸木さんはどんな質問に答えてくれるの?

【Q】
獸木さんは以前、「パームブック」の中のエッセイ漫画などで、環境問題に関する質問などを受け付けていると書いていらっしゃいましたが、今でも受け付けていますか?また、具体的にはどんな質問に答えてくれるのですか?

【答】
今でも受け付けています。
環境問題に関する質問や悩みのお便りは、今でも受け付けています。
現在PALM最終制作段階の作家活動制限により、原則的にいただいたメールはPALM完成まで保存され、その後サイト上で対応の予定です。ただし質問内容によっては、その都度臨機応変に対応させていただきます。以下の項目をご覧のうえ、コンタクトしてください。(Aug.2006追記)

今までにいただいた主な質問は
環境問題に関しては、今までたくさんのお便りをいただきましたが、実は質問の大部分は環境団体に関すること(連絡先問い合わせ、探しかた、選び方、支援方法など)でした。
エコロジカルな生活方法については、推進したり話し合ったりすることも割合に奨励されており、情報入手も比較的容易なので、質問はほとんどなく、「こんな方法もありますよ」と、教えてくださるお便りが主でした。熱心な実践者がたくさんいらっしゃり、そういう生活方法を親御さんの代からずっと続けていらっしゃるような方も少なくないようです。何しろ環境保全のために個人がしなければならないことの9割は家庭の中の努力ですから、たいへん頼もしく感じております。
しかし問題は最後の1割の家庭を越えた行動で、環境保全活動の支持や、社会的意思表示をしようとする人は、まず情報の入手からしてむずかしくなり、八方塞がりの状態に陥ることも多く、そんな読者の方が、わたしのところに手紙をくれているようでした。

専門分野は「家庭を越えた行動」
この最後の1割の努力は、割合が少ないのに、わたしたちがみんな家庭内の努力のみにとどまってこれを怠ると、残りの9割の努力がすべておしゃかになりかねないという、重要なものです。
質問の分野は特に限定していませんが、そんなこんなで、「家庭を越えた行動」が、一応わたしのQ&Aの専門分野のようになっています。
ご存知のようにわたしは環境団体のスタッフなどの専門家ではありませんが、その手の内容の話を書いたことである程度のことは調べたり、また個人的にもいくつかの団体の会員になったり、ほんのわずかですが会議や勉強会の傍聴や、ボランティアの経験もしましたので、環境問題の勉強のしかたや、いろいろな情報の調べ方、環境団体会員の実際など、自分の見聞きした情報をお分けして、最低でも本当の専門家への橋渡し役のようなことができればと考えています。

本当に困っている人は必ず助けます
このQ&Aは、今までいただいたような基本的な質問に、すべて対応できるように作られています。
ですからこのQ&Aや、ここで紹介した本やリンクを利用してわかることや、自分で調べられる範囲のものであれば、勉強のためにもご自分で調べて解決していただくことをお願いしたいのですが、環境団体支援などが社会的にも奨励されている欧米でならいざ知らず、そういうことがまだ一般的ではない日本で社会的な環境活動を始めようとする人は、上記のように情報不足にあえいだり、誰にも答えてもらえない悩みを抱えたり、孤独感にさいなまれたりすることもあるはずです。
そんなときは、どうか遠慮しないでわたしにコンタクトしてください。
各出版社のファンレターの宛先、このホームページの獸木野性宛てのEメールアドレスが窓口となっています。

(1997年12月)
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Q2 環境問題を勉強したい。でもどうしたら?

【Q】
環境問題を勉強したいのですが、どうしたらよいでしょう?またおすすめの本などありましたら教えてください。

【答1】
初心者の人に
もしあなたが初心者なら、環境問題の勉強始めるには、まず大きな本屋さんに行きましょう。大きな本屋さんには、だいたい「環境問題」というセクションがあって、そこでいろいろな環境ハンドブックを探すことができます。ハンドブックとしては、「地球と生きる55の方法(ガイアみなまた著/ほんの木)」などが有名です。環境問題は範囲が広く、内容も堅くて難しいものが多いですが、無理をしないで、簡単な読みやすいものから手をつけるとよいでしょう。エコロジカルな生活方法をエッセイ風に書いた、イラスト入りのかわいい本などもたくさん出ているようです。
下記に紹介する「地球にやさしい生活術」は、わたしが実際にハンドブックに使ったもので、入門書としてもたいへん優れています。
ただし、記載しました本などの案内に関しては、情報が変更になっている可能性がありますので、ご承知おきください。


【答2】
そう初心者でもないぞという人に
現在日本で環境問題の具体的で正確な情報を得るのは一仕事ですが、下記推奨の、エコロジストの著書、環境シンクタンクの年次報告、そして専門家を揃えた国際的環境保護団体に直接コンタクトして、ニュースレター、またはホームページからそれらを入手することができます。このホームページには国際的環境団体のリンクもあります。「環境ホームページリンク集」のコーナーをご覧ください。


おすすめ本◆◆◆

「地球にやさしい生活術」(初級〜上級向け)
ジョン・シーモア、ハーバート・ジラート著/TBSブリタニカ「Blueprint for a green planet」という原題の、環境問題入門書。
環境問題の現状や、環境保全や個人の行動がなぜ必要かといった基本理念に始まって、具体的に個人ができる行動や具体的な生活改善法をサブジェクト別にわかりやすく解説しています。この本の大きな特徴は、視点が非常に大きく、簡潔なことで、袋小路に迷い込みやすい環境問題を根本でとらえるために、まずおすすめの一冊です。専門的な上にわかりやすく、初心者から上級者まで、万人向けの本です。
著者のひとり、ジョン・シーモア先生は、環境保護論者であると同時に、世界的に有名な地方史研究家で、「完全版自給自足の本(文化出版局)」という、開墾から農業、牧畜(屠殺や解体の方法まで教えてくれる・・・)、建築や料理に至るまでの自給自足ハンドブックも書いておられ、わたしは「地球に・・・」以前に、こちらの本で存じ上げておりました。どちらの本からも先生の豪快なお人柄がしのばれます。なかなかユーモアのセンスにも長けた方で、「地球にやさしい生活術」も、ただ役に立つだけでなく、生き生きした、楽しい書物となっています。

「地球白書」(上級向け)
レスター・ブラウン著/ダイヤモンド社
民間シンクタンク、ワールドウオッチ研究所の地球環境総合年次報告書。1984年から毎年発行、20カ国(1990年時点)で出版され、学会・政界から一般まで、広く注目され、信頼を集めている環境バイブル的存在です。具体的なデータも多く、情報収集や検証、確認に有用ですが、サブジェクトの範囲が非常に広く、詳細なため、入門書としては不向きです。まず入門書の「地球にやさしい生活術」を読み、自分が環境問題に対してどういうスタンスを取るか決めてから、さらに勉強が必要になった人はこちらにとりかかるのがおすすめです。

(1997年12月)
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Q3 信頼できる環境団体はどうやって探せばいい?

【Q】
環境保護団体に興味があるのですが、団体や連絡先などはどうやって探し、信頼できる団体や、自分に合った団体を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?また、おすすめの団体がありましたら、連絡先を教えてください。

【答】
団体や連絡先を探すには・・・
今はインターネットのサーチエンジンという便利な物があって、環境保護団体なども見つけやすくなっています。サーチエンジンで、「環境問題」「環境保護団体」、あるいは「森林保護」「野生動物保護」など、自分の興味のある分野をキーワードに、団体を検索してみてください。
また環境保護団体や、環境関係ホームページには、大抵環境保護団体他のホームページリンクがあります。
パソコンをやってない方には、Q2で取り上げました、本屋さんの環境問題セクションで見つけられる、環境ハンドブックや入門書などの巻末に大抵載っている、環境関連団体のリストの利用をおすすめします。

おすすめは「環境ホームページリンク集」に
このホームページにも環境ホームページリンク集があります。
取り上げた団体は、すべて実績と定評のある、信頼度の高い国際的環境保護団体と、その日本支部などです。リンクと簡単な紹介文を載せてありますので、チェックしてみてください。

連絡先を入手したら
環境保護団体の連絡先を手に入れたら、電話をして「そちらの活動に興味があるのですが、パンフレットなどはありますか?」と聞くと、大抵の団体はパンフレットと会員申込書を無料で送ってくれます。パンフレットには、団体の詳しい内容や、会員形式、会費などが記載されていますので、良く読んでサポートするかどうかを決めましょう。
またホームページ上でも、パンフレット請求や入会手続きのできるところもあります。

信頼できる団体や自分に合った団体をを選ぶには
パンフレットを入手した時点で、団体が信頼できるかどうか、つまり本当にちゃんとした活動をしているか、偽物ではないかを見分けるポイントは、実績があって精力的な活動が行われているかどうか、会員及び参加形式が明確であるかどうかなどです。しっかりした団体のパンフレットには活動方針、実績、場合によっては退会のしかたまで、明確にわかりやすく書いてあります。入会してからは、ニュースレターが遅れても確実に送られてくるかどうか、無理な勧誘や強制がないかをチェックしてください。ちゃんとした環境団体では、カンパやボランティア、イベントなどの活動への会員参加は自由選択となっており、これらを強制されるようなことは絶対にありません。

近ごろは企業が作っているダミー団体などもあるそうなので、初心者の方には、まず世界的なメジャー団体のサポーターから始めることをおすすめします。実績のある大きな団体は、学者や弁護士などの専門家を揃え、信頼できることはもちろん、会員システムが洗練されていて、サポート方法も年会費の支払ってニュースレターを受け取ることが基本で簡単でもあり、とりあえず勉強してみたい、情報だけがほしいという人でも参加できるからです。もちろん、小さな団体や、地域に根差した草の根団体などにも、りっぱな仕事をしているところはたくさんあります。大きな団体のサポートをしていると、そういう小さな団体や他の団体の情報も入ってき、勉強しているうちに自分の興味も絞られてくるでしょうから、それから別の団体に移ってもいいわけです。

環境問題は分野が多い上、なすべきことも果てしなく、いかに情熱のある人でも何もかもはできません。感心のある分野と、どんなスタンスで環境問題に取り組みたいか、時間や経済的にどの程度の活動が可能かを見極めて、最終的な自分の専門分野を決めましょう。
例えば勉強したい人やあまり暇がない人は大きな団体、地域に根差した活動で積極的にボランティアをしたい人ならローカルな草の根団体、また分野別には、野生動物保護に興味のある人はWWF、森林保護に興味のある人はJATAN(リンク/レインフォレスト・アクション・グループ参照)、環境問題全般ならグリーンピースや地球の友、などという具合です。
環境ホームページリンク集には、ここに名前を挙げた団体を含む、いくつかの分野の違う団体が、説明付きでリストアップされていますので、参考にしてください。

(1997年12月)
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Q4 環境団体の会員になると、どんなことをするのでしょう?

【Q】
環境団体の会員になると、具体的にはどんなことをするのですか?

【答】
基本は会費を払ってニュースレターを受け取る
環境団体には大小いろいろな種類があって、サポート方法も少しづつ違いますが、サポートの基本は、会員になってニュースレターなどを受け取る(ニュースレターの購読料はふつう会費に含まれています)ことです。
もちろん大抵はカンパやボランティアも受け付けており、また勉強会、見学会、パーティなどの催しをしてくれる所もありますが、大小団体とも、カンパ、ボランティア活動、催しなどはすべて自由参加です。
環境団体はみな非営利で、財政的に独立したところが多く、会員の会費やカンパ、オリジナルのグッズ販売などが主な収入源のため、会員になって会費を払うだけでも大きなサポートとなり、ニュースレターを購読するだけの会員でも、喜んで受け入れてくれます。

大きな団体と小さな団体
上記の基本は、大小の環境団体に共通していますが、そのウエイトは規模によって、多少違ってきます。おおまかに言うと、大きな団体はニュースレター会員が中心、小さいところは、大小ボランティアのオファーが大きいところに比べて多いようです。
わたしの経験では、初心者で、自分で何をしたらいいかまだよくわからないけれどとにかく勉強したいという人から、とりあえずサポーターを経験してみたい人、団体を支援しながら情報収集をしたい人、あまり時間はないけれどせめて嘆願ハガキやなどで社会的意思表示をしたい、というくらいまでの人は大きな団体、ある程度予備知識があって、その上さらに積極的にボランティアや、勉強会などでの発言や情報交換、行動に参加したい方には、草の根団体など、小さなところがおすすめです(もちろん小さな団体でもボランティアをするかどうかは自由選択で、ほとんどのところでニュースレターの購読のみも可能です)。

会員になったら、自分の行動に責任を持とう
環境運動における平和的ポリシーを守るため、現代の主な世界的環境保護団体ではアクションへの参加者を厳選しています(多くはスタッフとエキスパートのみ参加で、会員のアクション参加を募るのは特別な場合に限られているようです)。
仮にひとりのスタッフや一会員が非暴力のポリシーを破った行動を取ると、団体のイメージを大きく傷つけることになり、実際過去にも、かつての一会員(問題が起こった当時は別の団体のメンバーとして活動)が行った破壊行為をある世界的環境団体の仕業と報道された例などがあります。
会員やサポーターというのはスタッフではないので、環境団体のメンバーとは認められていません。しかしその違いを誰もが知っているわけではないので、みなさんも会員になった暁には自分の言動に十分責任を持ちましょう。
また環境保護団体は非常に重要な責務を非営利でこなしている、世界一忙しい組織ですので、質問やパンフの請求には喜んで応じてくれますが、くれぐれも余計なお手間を取らせないよう、まじめに手際よくコミュニケーションするように心掛けましょう。

(1997年12月)
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Q5 署名集めを頼まれたのですが…

【Q】
署名集めの用紙が回ってきたのですが、署名などを頼んで友だちがなくなるんじゃないかと心配です。どうしたらいいでしょう?

【答】
この質問は、入門編の悩みのうちでもかなり深刻な部類なのではと思います。あなたがもしある程度環境活動なさってる方なら、「そんなことなんでもないよ」と、思うかも知れませんが、それほど予備知識がない初心者が、突然署名用紙を受け取ったら、さぞかし当惑することでしょう。

署名の意義
最近はネットアクションが主流となってきていますが、団体によっては時々ニュースレターといっしょに署名用紙や、サインして送るようになっている嘆願ハガキが入ってきます。この署名や、嘆願ハガキの郵送は、現代の環境運動の中でも重要な位置を占める、平和的かつ効果的な方法です。ハガキを送ったり、署名をしたり、集めたりしたことで、あなたがトラブルに巻き込まれる可能性は、健全な社会においてはありません。そんなことが起こりうる社会は相当末期的と言えるでしょう。

無理にしなくてもよい
ですからこれらは、できればしたほうがいいことです。ですが、無理にしなくてもいい、ということは覚えておいてください。その人によって事情はいろいろですから、あなたがそれをすることで、不愉快な思いをする可能性があったり、まだ勉強前で不安だったり、よくわからなかったりしたら、とりあえずパスしてかまわないのです。それをしなかったことで、誰かが文句を言ってくることもありませんし、罪悪感を感じることもありません。
特に自分だけで簡単に送れる嘆願ハガキとか、お願いの手紙と違って、大勢の人を相手にする署名集めには得手不得手があるようです。わたしも何回かトライしてみましたが、頼む知り合いが少ない上に、あまり署名集めがうまいとは言えませんでした。しかし、署名集めはなかなか興味深い経験でもありました。一言署名を頼むと、次のちょっとした反応の中に、通常の会話では得られないその人のいろいろな情報が含まれているからです。
ですから、こういう反応を研究したりする余裕があるようなら、初心者でも署名集めを試してみたらいいんじゃないかと、わたしは思います。


獸木はどうやって集めたか
ちなみに、わたしはそんなことでなくなるような友だちなんかなくてもいいじゃん(というか、そんなの友だちかい?)という心構えで臨みましたが、署名集めで友だちはなくしませんでした(たぶん)。
また署名を集めるとき、わたしは「お願いします」とは言わないで、「署名できるけどする?」と聞くようにしていました。環境破壊に意義を申し立てるチャンスの提供なので、「お願いする」必要は別にないんじゃないかと思うのです(違う?)。もちろんうだうだ言うような奴には次から署名させてやりませんでした(ダメ?)。わー!だからいっぱい集まらなかったのかな?署名集めのマイスターの方、いたらコツを教えてください!

(1997年12月)
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Q6 身近に環境問題が起こってしまいました

【Q】
身近に環境問題が起こってしまいました。どう対処したらよいでしょう?
●例:産業廃棄物処理場が近所に建設されます。反対運動を起こそうとしていますが、どうしたらよいでしょう。

【答】
特定の環境破壊が身近かに迫るのは、非常に緊迫した、大きな問題です。自分たちの置かれた社会的ポジションを冷静にとらえて、段階を踏み、可能性を模索してください。

状況をまとめる
誰もが突然このような状況に巻き込まれてしまうと、情報もなく混乱して、わらにもすがりたいというお気持ちになると思います。
しかし、気持ちを落ち着けて、状況を整理してみてください。
まず、問題となっている破壊や汚染物質、企業名、場所、経緯など明確にして、それを誰にでも簡単に説明できるよう、シンプルなリポート、またはメモにしてみましょう。
このメモ作成は、このあと弁護士や環境団体など、専門家にコンタクトするとき役に立つと共に、その問題が社会でどのように扱われているか、自分たちが現在おかれているのはどんな立場かを、冷静に把握し、分析するために有効です。


弁護士と相談する
まず何をするにしても、法律家のアドバイスが必要です。

この場合はもちろん、環境問題や反対運動に詳しい弁護士さんにこしたことはないので、身近な弁護士さんなどに、同じような問題を手掛けたことのある、専門の弁護士の存在をたずねてみてください。

知り合いの弁護士がいない場合は、弁護士協会の法律相談を利用するなどして、専門の弁護士を探す方法が考えられます。また最近ではインターネット上でも法律相談をしてくれる弁護士さんや弁護士協会のサイトがあるようですし、日本環境法律家連盟といった、環境問題にたずさわる弁護士の団体もあるようですので、法律相談などの際に、たずねてみるとよいでしょう。

同じような問題を扱う環境団体や市民団体はありますか?
環境問題や環境運動にはいろいろな分野やスタイル、常識があり、運動を起こすにはそれらの専門的な知識が必要となってきます。
あなたの身の回りで起こった問題は、環境運動のキャンペーンの対象になっていますか?
特定の環境団体の専門分野に属しているでしょうか?
同じような市民運動の例がありますか?
以上のことを冷静に見定めて、その環境問題を専門に扱う団体や、同じような運動を起こした市民団体があれば、コンタクトを取るべきかも知れません。

:団体の見つけ方は、問題となっている環境破壊や汚染物質名をキーワードにネット検索する、環境団体のリンクを利用する、似たような問題を扱っている団体などに、その問題専門の団体の存在を問い合わせる等がありますが、コンタクトする相手があなたの質問に答えられる団体(または個人)か、その分野を専門にしている団体かどうか、同じ、または関係のある問題で運動する団体か、事前によく見極めてください。

:コンタクトする場合「どうしたらよいかわからないので、助けてほしい。」というような漠然とした問い掛けでなく、最初のステップでまとめたメモやリポートを使い、問題となっている破壊や汚染物質、企業名、場所、経緯など明確にして、情報交換ができるか、協力関係が持てるかといった、なるべく具体的な質問やお願いをしてください。
電話より、手紙やファックスまたはEメールの方が要領を得やすいでしょう。

一般に環境団体などNGOは、世界のどの機関より困った人に親切な対応をしてくれるところですが、もし期待したような対応が得られなかった場合も、立腹してはいけません。
環境問題はいたるところに広がり、地球はこんなに広くて人口はこんなに多いのに、環境問題に直接立ち向かっている人々の数はほんの一握りなのです。
また、混乱して気がはやっていると、おかど違いなところにコンタクトしてしまっている可能性もあります。違った分野の団体にコンタクトしていないか、説明のしかたに問題がなかったか、冷静にチェックしながら前進してください。

June.2nd.1999
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Q7 ある特定の環境団体の、特定の活動について疑問があります。

【Q】
ある特定の環境団体(または環境保護を推進する企業)の、特定の活動について、疑問があります。


【答】

なるべく早い時期に、その団体または企業に直接お問い合わせになってください。
この場合、手紙自体は長くても構いませんが、質問の要点はわかりやすくまとめ、必ず最後に、具体的な質問を個条書きにしたものを添えてください。
質問の範囲が漠然としていると、解答のしようがない場合もありますので、「何を知りたいのか」をはっきりさせることが重要です。

環境問題以外のサブジェクトと同様、解決されていないあなたの疑問、批判などをネット上など公式の場で取り上げる際、元々の情報が間違っていますと、誹謗中傷や名誉棄損となるおそれがあるのみならず、この場合は環境保全活動そのものを妨害する可能性も加わります。情報確認には充分慎重を期して、一般的なマナーに従ってください。
またこのコーナーでも、特定の企業名や団体名を挙げたQ&Aを掲載することはできません。

特に環境団体を認識するうえで最も重要なことは、環境団体は、環境問題を専門に調査研究し、警告を発っする機関であって、危機事態は環境団体があろうとなかろうと、確固として存在するという点です。
そして環境団体がある問題についてキャンペーンを開始した場合、その環境問題はかなり深刻な状況に至っていることを意味します。
環境問題や環境団体について考えるときは、この基本構造を忘れないでください。

そしてもうひとつ忘れてならないのが、「環境破壊によって得をする人間はいない」という点です。
環境保全活動を中傷する人たちは、なんらかの環境破壊活動を続けることによって、自分の生活を維持したり、得をしたりすることができると考えている人たちですが、実際には問題となっている環境破壊が、やがてその人たちにもダメージを及ぼすことになります。
もし問題を放置すれば、捕りたくても獲物がおらず、作りたくても原料がなく、生活したくても大地がない、といった事態が遅かれ早かれ起こるでしょう。

環境問題は、人間が非常に強引なやりかたで、自分たちが生きるのに必要なあらゆるものを食い尽くして死滅に追いやったり汚染したため、ついに自分たちも危機に直面してもちあがった問題であり、好むと好まざるとにかかわらず、自分たちの犠牲なくして、この問題を回避することは不可能です。
環境保全活動や環境団体を批判したところで、こういった現状が変わるわけではありません。
もし自分たちの首を自ら締めて自殺たいのでなければ、わたしたちは環境保全活動や環境団体、環境保護を推進する企業や人々をサポートこそすれ、足を引っ張るべきではないでしょう。

一般の企業や政府が、環境問題を専門に調査研究したり、環境を保全するところでないことはもちろん、不幸なことにわたしたち人間そのものも、そもそも環境を守るようにはできていません。
環境団体はその環境問題調査研究を専門に行い、環境保全や、最終的には人々の生命や暮らしを守ることを目的とした、地球上数少ない機関なのです。

June.2nd.1999
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Q8 日本と外国で、環境保護活動の状況はどう違いますか?

【Q】
日本と外国で、環境保護活動の状況はどう違いますか?

【答】
わたしは世界中を巡り歩いた人間ではありませんが、外国に住んだり、日本人以外の知り合いが多いので、よくこの質問をいただきます。

おおまかに結論から言うと、他の西洋諸国から見て、日本の環境保全活動のステイタスは低く、そのため社会的、政治的立場で、個人が環境活動に参加したり、意見を述べたりすることが、非常に難しくなっていると思います。
ごく最近も、世界中でほぼ同じスタイルで行われた環境保全キャンペーンにおいて、日本でのみ逮捕・拘留・立ち入り捜査などが行われ、世界的人権団体のアムネスティ、日本環境法律家連盟、環境団体などが公式に抗議声明を発表するに至り、不名誉な現状を改めて世界の目にさらしました。

もちろん、日本と比べて環境破壊派の肩身が狭く、環境団体のサポーターが日本とケタ違いに多いとはいえ、西洋でも誰もが環境保護に熱心で、環境団体の会員なわけではありません。しかし環境保全運動そのもののステイタスの違いは、一般市民の環境問題への取り組みに、大きな差異を及ぼしています。

例えば、会った人が環境団体をサポートしているとを知ったら、あなたはどうしますか?
正直なところ、わたしは日本の知り合いとの会話に、環境問題や環境団体の話題を持ち込むことは、滅多にしません。
反対に、西洋諸国の人には挨拶がわりに使う場合すらあります。相手が環境活動をしているしていない、環境団体のサポーターであるないに関らず、環境問題や環境団体の話題で気まずくなる心配がない上に、話が盛り上がることも少なくないからです。
もしあなたが彼らに、「わたしどこどこの環境団体に入ってるの。」と言ったとしたら、帰ってくる答は間違いなく、「いいことだね」「あれはいい団体だね」「わたしもなにかやるべきよね」といった前向きなものばかりです。

もちろん、環境団体や環境保全活動にステイタスがあることの、みんなにとっての本当の利点は、環境保護論者に友だちができやすくなることではありません。
重要なのは、一般社会の目が保全活動を重視し、敬意を払うことによって、環境団体や環境保全活動そのもの=市民の権利が守られているという点です。

日本では今、多くの人が「環境問題を考えよう」という意識を持ち始めていますが、「これだけ抑制され、入手しにくい情報だけを使って、一体何をどう考えられるのか?」というのが残念ながら現状です。
もちろん、環境活動家の著書や環境団体のニュースレターなど、正しい情報を窃取する手段はありますが、環境保全活動や団体のステイタスが低く維持されていることによって、人々がそういった情報に伸ばす手の動きもおそろしく緩慢に、また気のないものになっているようです。

自分たちの不利なことばかり書きましたが、日本でのこういった、環境保全活動に対する意識の立ち遅れの裏には、情報が入手しにくいことや、政治に関する歴史的バックグラウンドを別にしても、環境問題そのものの歴史が浅い、という背景があります。
ご存知の通り、100年かそこら前まで、日本は完全にエコロジカルな国でした。
環境問題の歴史が長い西洋諸国に比べて、日本の環境問題はつい最近(正しおそろしく急激に)始まったことなのです。

別の見方からすると、こんなふうに過去に長きにわたるエコロジカルな生活の実績があり、道徳意識が高く、環境先進国といわれるドイツの人たちに負けないくらい頭の切り替えや、物事への対応も早いわたしたち日本人が、環境後進国民だというのは、なにかの間違いのようにも思えます。
実際、リサイクルなど、ひとりひとりの生活改善における人々の意識面では、日本は他と比べてそれほど悪くなく、こうした資質からすると日本が環境保全で世界のリーダーシップを取るのも決して夢ではないはずです・・・・もし、「見ざる言わざる聞かざる」の伝統を捨てることができさえすれば。

June.2nd.1999
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Q9 環境団体のスタッフになるにはどうしたらよいでしょう?

【Q】
環境団体のスタッフになるにはどうしたらよいでしょう?

【答】
団体には様々な規模と分野、国内・国際の別などがあって、スタッフの募集基準や状況はさまざまなので、まず直接問い合わせて募集の有無などをを確認なさることをおすすめします。
次には具体的にサポートしたい分野で、環境団体会員になったりボランティアを経験するなどして、どんな団体があるか、どんな人間が必要とされているか、見定めるのもよいでしょう。

ただ、環境団体のスタッフは、基本的に奉仕的な仕事で、徹底したボランティア精神が要求され、給料無しのボランティアのみで成り立っているところも少なくありません。
一般的な就職先や、生活の手段として環境団体のスタッフになることを考えるのは、絶対にやめましょう。
大切なのは、「自分がその団体にとって役に立つ人間になれるかどうか」です。
基本的には、小さな草の根系団体はボランティア中心、大きな世界的環境団体などは、コンピュータ、英語、環境問題などの専門知識や特殊技能が必要とされることが多いようです。いずれにしても、自分だけで先走らず、状況や条件を、まずよく確認することが大切です。

June.2nd.1999

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